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「ところで、お前。城にいた頃は何やってたんだ?」 青年の問いかけに、少女はびくっと身体を震わせた。 「………何と?」 「俺が城に行く前だよ。俺は世界中旅して魔獣退治とかしてたけど……今とやってることあんまり変わらないな。 お前は普段何やってたのかな、と。 魔王ってでっかい椅子に腰掛けて笑ってるようなイメージしかなくてな。 ……まぁ、お前見る限りそれもかなりかけ離れてるんだが。 なぁ、魔王って普段何してんの?」 少女は何故かしばらく苦い顔でギリギリと歯軋りすると、あげていた顔を本に戻した。 「我は昔から読書が趣味だったからな。魔王城の書庫に日がな一日篭っていたが」 「魔王城に恋愛小説なんて置いてあったのか?」 青年が少女の読む本のタイトルをチラリと見て、眉をひそめた。 『薬草味のファースト☆キッス』 最近少女がはまっているらしい小説シリーズの最新作だ。 荷物が増えるからと渋る青年を、こうすれば問題あるまい!と転送魔法で魔王城に送りつけ、 読みたくなったら召喚魔法で呼び出しているのである。 次の街に着いたらこのシリーズ全作集める気でいるらしい。嗚呼、貴重な路銀が消えていく。 「ば、馬鹿者!もともとこのような低級な娯楽小説に興味などなかったわ! 我が好んで読むのは千年の歴史を持つ魔道書であってだな!」 少女が顔を赤くしてわめく。 少女にしてみれば、恋愛の指南書である少女小説を必要としたのは青年と共に旅をするようになってからに他ならない。 妙な勘違いをしてもらっては困るのだ。色々と。 「ちょっと待て。でも、お前城から出たことなかったんだろ?本ばっかり読んでたのか?」 「……そうだが」 「仕事みたいなものは?王様っていや市民を管理するのが仕事だろう」 「魔王と人間の王を一緒にするな。人間の王は所詮人間に過ぎないが、魔族の王は魔王という一個の種族なのだよ。 したがって我は何もせずとも他の魔族の頂点にある。管理などする必要はない!」 本から顔を上げて無い胸を張る少女。 そこに、青年がふと気付く。 「つまり、お前何もしてなかったんだな」 「………………………………………………………」 「薄暗い書庫に篭ってでっかい魔道書抱えて、ブツブツ独り言呟きながら一日潰して。気がついたらもう寝る時間、か」 「………………………………………………………」 「根暗だったんだな。お前」 「うるさいうるさいうるさい!!」 少女小説が霞の如く消え去り、代わりに火球が現れる。 「も、勿論本ばかり読んでいたわけではないぞ!えーと、昼寝したり、散歩したり……ご、ごろごろしたり………」 「……お前………」 「そんな目で我を見るな!水晶で遠くの景色を見てたりしてたんだぞ!!」 「へぇ、お前そんなこともできるのか。何を見てたんだよ」 「それは……」 少女の顔が何故か真っ赤になる。 言えない。 “勇者”に選定された男が各地の強力な魔獣を撃破しているとの報告を受けた後、 水晶でその勇者の姿をずっと追って見ていたなどと。 突然魔獣が襲い掛かってきたとき、とっさに「危ない!」と叫んでしまったことなど、 気がついたらニヤニヤしていたり、その後この者は世界で一番我を嫌っているのだな、 とがっくり肩を落としたなど言えるはずもないのだ。 思えば殺す殺されるの関係しかありえないと思われた魔王と勇者がこうして二人で旅をしているなど、 あの頃は夢でしかなかったのだが。 まったく、喉元に刃を突きつけられて共に旅をすることを命令されたとき、 我がどれほど驚き、嬉しかったことか……この鈍感は気付くまいよ。 「……何ニヤニヤしてるんだ、気持ち悪い」 「きっ!気持ち悪いとは何を無礼な!」 火球を投げつけるも、まるで蝿かなにかのように弾かれて彼方に飛んでいってしまう。 遠くの山に当たり、大きなクレーターができた。 あれは最上劫火球魔法ではない。初級火球魔法だ。 ……誰もいなかったことを祈ろう。 「貴様こそ何をやっていたのだ、我を倒す旅に出る前は!」 ――勢いで言ってしまったが、ふと、今までその手の質問は一切してこなかったことに気付く。 魔王は勇者と出会う前など何も無い空虚な存在だったからいい。魔王は魔王でなかった時など一瞬たりともなかったのだから。 だが、勇者は―――勇者である前、ひとりの青年だった頃がちゃんとあるのだ。 「俺が、勇者になる前か――」 青年は少しだけ寂しそうに笑った。 少女はその顔に胸がちくりと痛くなるのを感じた。 勇者を勇者たらしめたのは、魔王という存在だ。勇者は、勇者になって本当によかったのか? 青年が一瞬だけ見せた表情は、少女の知らない青年本来の顔だったのではないか? 「そんな顔すんなって。俺は後悔なんかしてないんだから」 よほど不安そうな顔だったのか。 青年は普段の青年に戻って少女の頭をくしゃくしゃとなでた。 「う、うるさい!馬鹿者!」 気恥ずかしくなって怒鳴るが、それは普段より力が無い。 「そう、後悔なんかしてない。俺は俺にしかできないことがある。そのことに、誇りを持っているんだから」 ……この男はずるい。 少女はむにゅむにゅと口の中だけで呟いた。 そんな顔されたら、我はどうすればよいのだ。胸がきゅんきゅんするではないか。 「そ、それで?貴様はなにをやっていたのだ?あれほど我を侮辱したのだ。 よもや特に何もしていないなどとのたまうのではあるまいな?」 咳払い、そして無理矢理ニヤリと笑う。顔が火照っているのは挑発的な態度でカバー。最近身につけた照れ隠しだ。 「そうだったな。俺はずっと東にある国の王城騎士団にいて―――」 大好きな男と二人旅。 またひとつ、“すき”が増えていく。 ――――――幸せだ、と思った。 いつかのふたり~新ジャンル『魔王』純愛伝~ 完
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つかこなスレらしい『ゆるーく、ゆっくり、そしてほんわか感』をお楽しみいただけたらと思い、スレのレスの内、1レスSSや、複数レスである程度の話の流れになった名無しさんのミニ・ネタと思えるレスをピックアップしました。(一部のレスは、流れに無関係な内容等の部分を割愛しています) 尚、コテハンの方の分は作者別保管庫(4スレ目) に保管。(複数のコテハンの方の流れの場合は重複保管している場合もあります) スレを保存されている方で、これ以外のレスで、『これもミニ・ネタでしょ?』と思われるリクエストがありましたら、レス番号をこのページ最後のコメント・フォームに御記入ください(レス内容はこちらも保管していますので不要です)--1-724 443 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/11/03(月) 21 10 35 ID zZaBy6OX こなた「ふああ~……ちょっと寝すぎたかなあ……」 トントントン つかさ「あ、こなちゃんおはよー」 こなた「ふぇ?ってええ、つかさ?なんでうちに?」 つかさ「こなちゃんに朝御飯食べてもらいたいなって思って。 あ、おじさんとゆたかちゃんはまだ寝てるから良かったら起こしてきてくれる?」 こなた「えーと、色々と聞きたいことあるけど……とりあえず、なんでエプロンの下に何も着てないのか聞こうかな」 444 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/11/04(火) 00 21 10 ID iziKedYB こなた「そしてついでに何で私もバスタオルの他に何も身につけてないのか聞こうかな 夢を見てる間に勝手に脱いだとは思えないんだけど」 445 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/11/04(火) 01 02 32 ID mtPyJDQm 「それはね…こなちゃんの愛を確かめるためだよ♪困っちゃったね」 446 名前:2-613[sage] 投稿日:2008/11/04(火) 01 14 30 ID +wcY+FSY 「ある意味私より寝ぼすけさんなのにどうしてこんな朝早くから来るかなぁ」 「迷惑だった?(うるうる)」 「…寧ろうれしいけどさ」 「だってこなちゃんのためだもんっ」 「はうう…そんな堂々とそーゆーこと言われると恥ずかしいよ」 「こなちゃんは私のお嫁さん~(抱きつき)」 「ちょっとつかさー!おとーさんもゆーちゃんも起きてくるんでしょ…あ」 「「…二人ともごゆっくり…」」 「ちょおとーさん!ゆーちゃん!」 「こなちゃ~ん」 「つかさもいつまでもスリスリしてないで何とかしてよー!」 ~間~ 「なぁこなた」 「何?」 「式はいつ挙げるんだ?」 「ぶー!(噴いた)お、おとーさんっ!」 「こなちゃんは私が責任を持って幸せにします、お義父さん」 「お姉ちゃん、つかさ先輩、お幸せに」 「ちょっと二人とも話早すぎるよー!…そりゃ嬉しいけど…」 447 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/11/04(火) 11 36 38 ID YWbCMWkv そうじろう「できればパパって呼んでくれたほうが……」 448 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/11/04(火) 12 31 54 ID VLUuxRPy ゆたか「ところでつかさ先輩、いつまで裸エプロンでいるんですか?」 つかさ「それもそうだね。じゃあこなちゃんの下着借りていいですか?」 そうじろう「どうぞどうぞ」 こなた「許可得る相手違うよ!!」 449 名前:1-724[sage] 投稿日:2008/11/04(火) 18 31 42 ID nFZIJ/Jc つかさのこわれぷりがいいですね 450 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/11/04(火) 22 14 50 ID XL6hYzsg かがみ「……で、結局半日裸エプロンで過ごした挙げ句風邪引いたと」 つかさ「あぅ~……っくしゅ!!」 かがみ「ったく!!こなたもあれでわりと責任感じやすいんだからねっ!! つかさが自分でやったこととはいえ、自分のせいで……って考えたらきっと傷つくわよ」 つかさ「ふえぇぇぇ~!!うう……どうしよう……ぐすっ;」 かがみ(ヤバっ、言い過ぎた……) 451 名前:913[sage] 投稿日:2008/11/04(火) 23 27 03 ID bFN2ghjN 「…お姉ちゃんまだ部屋から出てこないのかなぁ。」 「こなたなりに責任感じてるんだろうなぁ。ごめんなこなたぁ、俺調子のりすぎたよ。」 「でも眼福でしたよね。」 「だよな!」 ~こなたルーム~ 「…はぁ、つかさにあわせる顔がないよ…。」 バリーン 「顔をあわせにきたよ、こなちゃん。」 「なんという不法侵入」 「夫婦なんだから大丈夫だよぉ。くしゅん。」 「…私のせいなのにこなちゃんが責任感じてちゃやだよ…。」 「つかさ…。」 「だから、ね。なーかなーおりー。」 「うん。なーかなーお 「リーチ一発ツモドラ役満お姉さん絶好調!!」 「やっぱゆいちゃんにはかなわないなぁ。もうパンツしかないよ。」 「おとーさん。ゆいねーさん。くーきよめー。」 長くてすません( A`; でもつかさのこわれぷりと言われた瞬間強行突破する場面が思い浮かんだんだ… 452 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/11/05(水) 00 21 26 ID h9jb/l6A つかさ「やっぱりね、裸エプロンはダメだったかと思うんだー。おじさんたちもちょっと固まってたし」 こなた「そりゃそうだよつかさー」 つかさ「だからね、今度からはエプロンの下にこれを着てくるよ」 ぱさっ(服を脱ぐ) こなた「ちょ、ちょっとつかさ、何その格好!?」 つかさ「水着を着れば少しは温かいかなって。それに、こなちゃんとお揃いのスクール水着だよ!!」 こなた「つ、つかさ……///(お父さん、先立つ不幸をお許しください)」 つかさ「中学の時のがまだ入ったんだ。でも流石にちょっとキツいね~。お尻とか完全に食い込んじゃって……」 こなた「い、いいから早く服着てよ!!つかさの風邪が悪化したら私がかがみに怒られるし!!/////」 456 名前:2-175[sage] 投稿日:2008/11/05(水) 20 14 50 ID GJIqRsB9 452 つかさ「えぇ~ そんな事言ってこなちゃん実は萌えてるんでしょ?」 こなた「つ、つかさ……いつの間にそんな言葉を……(=ω=.;)」 つかさ「こなちゃんに散々言われたからね」 こなた「もうっ つかさが自分で着替えないのなら私が着替えさせてあげるよっ」 つかさ「ふぇええ!?」 かがみ「おーっす こな……た……」 こなた「まずは水着を脱がさないとね」 つかさ「キャ~ こなちゃんに剥かれるぅ~ 離してぇ~♪」 こなた「離さな~い♪」 かがみ「な、なんなのよこの光景は……うわっ つかさってツンツル(ry」 自分も電波仲間ですw 457 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/11/05(水) 20 55 45 ID h9jb/l6A ゆたか(おじさんもお姉ちゃんもつかさ先輩も、そしてこなたお姉ちゃんまで裸に……(←つかさに脱がされて) これは私も脱がないといけない流れ!?) 458 名前:2-613[sage] 投稿日:2008/11/05(水) 21 04 25 ID BoMtOTkQ 457 「…………」 「あ、あれ?みなみちゃん?いつの間にここに?」 「…ゆたかを脱がせるのは私…」 「え?ちょ、ちょっとみなみちゃん?いつの間に抱っこされてるし?」 「…行こう…」 「ちょっと待ってみなみちゃん私心の準備がー!」 「相変わらず仲がいいねぇあの二人は」 「そうだね~」 「言いながら私まで脱がせないでよつかさ」 「私たちも負けてられないでしょ?」 「それって勝ち負けの問題じゃないと思うよって手際よすぎ!」 「こなちゃ~ん…ハァハァ」 「もう!こうなったら奥の手だ!」(ひょいっとつかさをお姫様抱っこ) 「きゃ!」 「たまには私が攻めてやる~!」 「やーんこなちゃ~ん」(でも実は素で嬉しそう) みなゆたもかがこなもみゆつかも大好きさーさーさー…(フェードアウェイ) 460 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/11/06(木) 00 06 36 ID IsrutM8f こなた「って、気が付いたらお父さんもゆい姉さんもゆーちゃんもなんて格好に……うちは裸族の家かあ!!」 つかさ「いいじゃんこなちゃん。それよりもっともっとお布団の中で暖めあいっこしようよ!!」 ピンポーン 「すいませーん、宅急便でーす」 一堂『ちょwwwww』 461 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/11/06(木) 19 17 18 ID QSwKIOeG 460 水差すようで悪いが ×一堂→○一同 でもすかさずギャグを入れるとは扇子夜杉 467 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/11/07(金) 12 13 28 ID L/cxV2U9 460 「ちょっと、誰が出るの?」 「私こんな格好だから無理に決まってんじゃん」 「私も今はちょっと無理だよ~;」 「お父さんならまだ大丈夫じゃない?」 「無茶言うなって」 「そうだ、こうなったら 『みんなで出れば怖くない』!!」 「居留守使えよ」とか「急いで服を着て出ろ」とか言わないで 468 名前:1-724[sage] 投稿日:2008/11/07(金) 22 50 45 ID XX3854pQ 467 意を決してドアを開けた瞬間 「百合の匂いあるところ、必ず参上!っス」 宅配便を騙ったひよりんが飛び込んできた 「ふぉっ!?」 目の前の光景に絶叫した、ひよりの鼻血で泉家の玄関は赤く染まったという 469 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/11/07(金) 22 58 31 ID a1fw7nTh 他人目から見るとそうじろうの鬼畜ハーレムにしか見えないようなwww 453 名前:1-724[sage] 投稿日:2008/11/05(水) 00 25 11 ID ZE2RCPLB 電波受信 かがみはつかさのリボンをすると3分間だけ家事の達人になり つかさがかがみのリボンをすると3分間だけ秀才…じゃなくてウサギ並みの性(ry その3分間のつかさ攻めでこなたは翌日も足腰が立たなかったらしい いえ、すみません、ちょっと電波を受信しただけなんです 454 名前:2-613[sage] 投稿日:2008/11/05(水) 00 36 32 ID BoMtOTkQ 「つ、つかさ?何でツインテールに?かわいいからいいんだけどさ」 「べ、別にこなちゃんのためにしたんじゃないんだからねっ!」 「つかさ?」 「ただ1-724さんに言われてやっただけなんだからっ! こなちゃんのためにじゃないんだから…ってあれぇ?(時間切れ)私なんでお姉ちゃんのリボンしてるんだろ」 「あーもとに戻っちゃったよ…で、何があったのかな?」 「あうう…たまにはちょっとお姉ちゃんの真似してみたくなっちゃって」 「じゃあ今はかがみがつかさのリボンしてるわけだ…(想像中)ダメだかがみにはあのリボンは想像できない」 「そんなことないよー。お姉ちゃんだって似合ってたし。可愛かったよ。ってことではいこれ」 「ってこれつかさのリボン?持ってきてたの?」 「こなちゃんにつけたらどんな風になるかなーって思って。じゃあこなちゃんおとなしくしててね~」 「ちょいくらなんでも私にはってあーっ!」 「ひーちゃん」 「こなちゃ~ん」 「ああ…頭が痛いわ…」 453を受けてこんな電波を受信してしまった。台詞に名前使ってしまって申し訳ないです。 3分ツンデレのつもりだったがオチは追求はしないでほしい。 さて…誰か漏れを一発フルボッコにしてくれないか。 481 名前:イクシデズタル(元594) ◆P5TPu/OBR2 [sage] 投稿日:2008/11/09(日) 14 56 18 ID wYG/6/xE その気になってる内に作ってきた (#)ω・`)冬絵冬絵 モチーフっていうか、 雰囲気っていうか、脳内で描いたイメージ曲として 某ゴスペラーズの「星屑の街」「街角-on the corner」「新大阪」とか(実際聴きながらカキカキ) あとはもうとにかく冬っぽくガンガった。 何気につかさの誕生日以来投下してなかったなとか思いつつ投下しまつ(#)ω・`)ノ じゃ出かけてきまーす(#)ω・`)ノシ ttp //momoiro.s4.dxbeat.com/up/img/momoiro07765.png 486 名前:2-613[sage] 投稿日:2008/11/09(日) 19 38 37 ID W5m13Htl 481 ぬわああああ!SSといいこの絵といいなんたる職人… さて。今日の競馬より。 「ねえねえこなちゃん。何で最終レース終わったのにみんな残ってるの?」 「それはねー。今日はこれがあるのだよ」 「ジョッキーマスターズ?」 「過去の伝説に名を残した名騎手たちがこの東京1600mで腕を奮うレースなのさ」 「ふぇー…すごいんだね」 「まぁ私もあんまりよくわかんないんだけどさ」 「あ、岡部って名前だけ聞いたことあるよー」 「おおつかさでさえ知ってるほどの騎手だったとは…やっぱりすごいんだなぁ」 「お父さんがテレビで競馬見てたときよく言ってたもん」 「つかさのお父さんも競馬やるんだ」 「んーん、テレビで見てただけー」 「うちのおとーさんが泣いて喜ぶなー佐々木竹見とか河内とかって聞いて」 「外人さんもいるんだねぇ」 「昔ここで名前残した人が来てるみたいだよ」 「凄い人ばっかりなんだねぇ」 ~レース後~ 「本当に凄いレースだったねぇ」 「まさに名手の鬩ぎ合い!これが騎手の駆け引きってのを堪能したね私は」 「またやるのかなぁ」 「春もやったし年に2回はこういうイベント欲しいよねー。そう、コミケみたいにさ」 「あうう…私はアレはちょっと…」 「大丈夫だよー。私がついてるから。ってかまたつかさと見に行きたいし」 「うん!また行こうねこなちゃん!」 …なんで競馬場にいるのかなんて突っ込みはしないで欲しい。単なる私の趣味です。てか生き甲斐です。 それ以外なら突っ込みはいくらでも受け付けます。 487 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/11/10(月) 17 52 09 ID 5SYOX66V 481 おお、これはGJ!! 二人が可愛すぎる 486 正直なところ、それ以外の突っ込みが思いつかんです;; 488 名前:913[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 05 08 51 ID O294sjlx 感想ありがとうございます、11月は独り身にはとても寒い季節です(関係無 481 ふかふかでふわふわでぬくぬくで…そして脇の下に手を回したくなるこなちゃん。 凄く抱き心地が良さそうでたまりません、GJデス! こなたはつかさの嫁なのに画面に向かって両手突っ込んだ私が通ります( A`* 486 きっと新たなデートスポットに違いない。 そしてどんどん私の脳に競馬の知識が詰まっていくww 489 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 07 23 36 ID P50Ro6Uq いや、競馬場はないだろ… アニメなどなどに金かけ、他に全くと言ってかけないこなた。 人混み苦手なつかさ。 考えられないなぁ。 490 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 14 17 06 ID 1ZTtEyKW きっと「まじかる☆さゆりん杯」みたいなイベントがあったんだよw あの時は競馬場で同人誌まで売ってたらしいし 491 名前:2-613[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 18 18 52 ID OguVDVup 「ちょうどその日はオグリキャップが東京競馬場に来ていた日ですよね」 「そうそう!名前しか知らなかったけど真っ白なお馬さんだったよー」 「もうすっかりおじいちゃん、って感じだったけどね」 「でもずーっと前に引退してたのに未だに凄い人気なんだよねー」 「ちょうどオグリキャップが活躍していた時期は第二次競馬ブームと呼ばれていた時期でしたから。 ぬいぐるみとかのグッズも日本中でものすごく売れていたそうですよ」 「かっこいいよねー白いお馬さん」 「つかさ…オグリキャップは葦毛だよ」 「どう違うの?」 「ユキチャンのような白毛というのは生まれたときから鬣から尻尾の先まで真っ白なのですが、 芦毛の場合は若いうちは黒っぽい毛色で年を重ねるごとに色素が抜けて白くなっていくんですよ。 芦毛も当時ではかなり珍しい毛色でしたし、地方からやってきた若武者が中央の重賞で中央馬を蹴散らすロマンも 多くの人の心を打ったのでしょうね」 「さすがみゆきさんは詳しいね」 「いえ…ちょうど興味があったものですから調べているうちについつい…」 と、言い訳してみる。 487 やっぱりですか… 488 パークウインズの競馬場は立派なデートスポットになりえますからねw 開催してないときの東京競馬場に初めて行った時素で思ったことが 「本当にここで馬券売るの?」ってくらい綺麗なところでしたから。 489 G1ウイークでもなければそれほど人混み云々ってほどでもないですし… コミケとは違って人口密度的にそれほど気にすることもないかなと思いまして。 490 寧ろ地方の競馬場あたりがこなたにはしっくりくるのかもw てか競馬場で同人誌ってマジですか… 492 名前:1-724[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 20 23 40 ID MmGAL1+Z 電波受信 「おはよう!ムフフ、つかさ、今朝もかわいいねェ(抱き)」 「や、何するの?こなちゃん!」 「へっ?つかさ、何を言ってるのサ」 「ほ~、わたしの前で朝から浮気+大事な妹にセクハラかァ?言い残すことはないか、こなた(ゴゴゴゴ)」 「ちょ、かがみ、どうしたの……あ───っ」 ……… 「という夢を今朝見てサ(コロネもぐもぐ)」 「ふえぇ、夢でも浮気しちゃいやだよ、こなちゃん」 「何でまたそんな夢を見たんだ?ギャルゲのやり過ぎか、オイ」 「いえ鏡の向こうのパラレルワールドじゃないでしょうか、11月11日ですし」 「「「へ?」」」 「あの、今日は鏡の日です」 電波受信2 「よいしょっと」 「ねえ、こなちゃん、何で急にわたしの部屋に来たの?」 「いや、コレをやらなきゃ、オタクのメンツが、ホレ、つかさ?」」 「うん。こなちゃん、って、このままじゃキスしちゃうんじゃ?」 「折れなきゃね…ポキッ……でも折れてもしちゃおっと♪」 「だめえ、こなちゃん」 ハイ、ご存知、ポッキーの日でした 505 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/11/14(金) 23 37 34 ID /TVV6iJy 男子A「なあお前さあ、柊さんに話しかけるときになんて呼ぶ?ああもちろん妹のほうな」 男子B「いや、普通に『柊さん』だろ?」 男子A「でもさ、柊さんってよく隣のクラスの姉と一緒にいるじゃん?」 男子C「その時は『柊さん』って呼びにくいよな」 男子B「う~ん、じゃあ下の名前でつかささん、とか?」 男子A「いや、大して親しくも無いのにそれは変だろ」 男子C「そうそう、それにあの怖そうな姉のほうに目をつけられそうだし」 男子B「じゃ、『妹のほうの柊さん』でいいんじゃね?」 男子C「それもなんか失礼っつーかなー」 男子B「なんかないかな、しっくりくる呼び方」 明くる日 つかさ「でねー、その時こなちゃんったらね、」 男子A「あー、ちょっとクラスの用事なんだけどいいか、『泉さんの旦那さん』」 506 名前:1-724[sage] 投稿日:2008/11/15(土) 00 08 08 ID +vZHRd5k 瞬時にこなたが飛んできて「つかさは私の嫁」と……釣られました?私 507 名前:2-613[sage] 投稿日:2008/11/15(土) 01 35 24 ID RQJzbFf5 506 脊髄反射で全く同じこと考えてた私も同類。 508 名前:913[sage] 投稿日:2008/11/15(土) 21 03 01 ID JjSB1Lsz 505 そして無意味に「妹のほうの柊さんの奥さん」とか呼ばれるんだろうかという発想が出てきた私は末期 510 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/11/16(日) 21 11 12 ID MmOfq9aB 男子A「なあ、柊(姉)」 かがみ「いや何よ(姉)って。名前で呼びなさいよ」 男子A「いやそんなことより、つかささんってあんまり男子と話さないけど、か、彼氏とかっているのか?」 かがみ「…………そうね、恋人ならいるわね」 男子A「!!………そ、そうか。ありがとう、柊(姉)」 こなた「ちょっとちょっと、つかさの彼氏って誰なのさ!!」 かがみ「何言ってるの。あんたはつかさの恋人みたいなもんでしょ」 こなた「……/////」 かがみ(しかし、あいつは私の名前を覚える気は無いのか……) 511 名前:イクシデズタル(元594) ◆P5TPu/OBR2 [sage] 投稿日:2008/11/16(日) 23 07 47 ID X7HrEFxy おお!! かがみさんに気になるお方参上? とうとうかがみさんに春の予感ですな!(#)ω・`) ツンデレ技を駆使して相手(男子A)のハートをゲットだぜ!! 514 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/11/18(火) 18 29 26 ID Ha0Fi/+4 つ「こなちゃーん」 こ「おー、つかさ。ラブ♪」 つ「こ、こなちゃん…廊下で言われるの恥ずかしいよ~」 こ「…ヤだった?ごめんね」 つ「…ヤじゃないよ、こなちゃん」 こ「つかさ…大好きだよ。私も反省して少し自重するよん」 つ「…うん。ありがと、こなちゃん♪」 翌日 つ「こなちゃーん、帰ろ?」 こ「うん、つかさ。愛してるヨ♪」 つ「…反省してない…でもいっか♪」 515 名前:1-724[sage] 投稿日:2008/11/18(火) 20 54 11 ID AuOjrmyt 私も1レス失礼します(例によってかがみ分注意) 「おはよう、こなちゃん(チュ~)」 「むうう」 「ん~~~~♪(今日は特別長くキスしちゃおっと)」 「むう、むむう(バタバタバタ、ガクッ……)」 「ふええええ、こなちゃん!?」 …… 「こなちゃん、気が付いた?よかった」 「はあ、はあ、もう少しでさ、天国に行くところだったヨ、つかさ」 「ゴメンね、こなちゃん」 「風邪でさ、鼻が完全に詰まっているのに、キスしたまま放してくれないんだから」 こなたの鼻風邪がつかさにうつったのは言うまでもないが……さらに 「あれ、かがみも鼻風邪?」 「う、うるさいわねっ、別にあんたの鼻風邪がうつったんじゃないわよ!」 「でも間接的にはこなちゃんの風邪がうつったんだよね、おねえちゃん」 「つ、つかさ!」 「ふう、姉妹愛とはいえさ、恋人としては複雑な心境だヨ…」 いえ、ここ1ヶ月弱、ずっと鼻かぜが治らなかったもので、皆さんも風邪にご注意ください 517 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/11/18(火) 21 37 40 ID cpnbidVn 514 いいねー 甘いねー ほんわかだねー 515 こなたも大変ですなw 518 名前:2-175[sage] 投稿日:2008/11/19(水) 21 13 58 ID KbZBIq0v こ「つかさぁ ぎゅぅ~」 つ「うわぁ いきなりこなちゃんに抱き疲れちゃったよぉ」 こ「ふっふっふ~ 絶対に離さないぞ~」 つ「うん、危ないから私の首に回した腕は離しちゃダメだよ」 こ「??? どゆこと?」 つ「こういう事~(ヒョイ)」 こ「わわわ、つかさに抱きかかえられちゃったよぉ~」 つ「えへへ、落ちない様にギュッってしてくるこなちゃんを見てるとウズウズしてきちゃったよぉ。 このままベットに行こうね」 こ「ひゃあ~ 何されちゃんだろう」 か「……で、何で私のベットを使おうとしてるんだ?」 つ「だってこなちゃんを抱っこしてるせいで両手が塞がってて私の部屋のドア開けれないんだもん(トサッ) そうだお姉ちゃんも一緒にお布団に入ろうよ」 こ「かがみんもおいで~」 か「は、はぁ!? ふ、ふざけるんじゃ……ない……わよ……(ウズウズ)」 ……… つ「はうぅ~ 片方からこなちゃんがギュ~。 もう片方からお姉ちゃんがギュ~。 こなかがサンドイッチ~ ……幸せ♪」 こ「なんだかんだでしっぽを振ってベットインして来るかがみん萌え~」 か「うるさいなっ 昼寝する時も夜みたいに、つかさとお互い抱き枕にし合うのはこなただっていつもしてる事でしょ」 1-724 自分の住んでる関東は何だか明日以降気温が一気に下がり真冬モードに入るとか…… 724さんもその様な地域に住まわれてるならぶり返しにご注意をw 523 名前:1-724[sage] 投稿日:2008/11/22(土) 00 26 01 ID x9a3VdaY 518 双子サンドイッチならぬ、こなかがサンドですか では私もそのネタいただいて… 「つかさもう起きなきゃ」 「う、ううん…こなちゃん、寒いよ…」 「でも起きなきゃね、つかさ」 「あと5分だけ~ほんとに~すうすう…」 「つかさ!起きてヨ」 「バルサミコすうすう…」 「やれやれ」 「どう?こなた、私の苦労がわかった?」 「うん、毎朝大変だね…ってかがみ、どうして一緒に寝てるのサ」 「わ、わたしは、つかさが風邪引かないように暖めてただけよ」 「ふ~ん(なんかこの状況に慣れてきておかしいと思わなくなってる自分がこわいヨ)」 つかこな+かがみ から こなつかかが になりつつある というか かがみに妹離れさせられないんです 524 名前:2-175[] 投稿日:2008/11/22(土) 01 22 28 ID Wk9MIgns 「わ、わたしは、つかさが風邪引かないように暖めてただけよ」 意地貼って、一応それも本心だけど建て前になりそうな方の理由を言うかがみだけど これも十分恥ずかしい件w カップリングの悩み、よく分かりますw 双子ネタが大好きな自分もスレチ気味だと分かりつつもかがみも混ぜてしまって バカップルからバカトリオになってしまうw 525 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/11/22(土) 17 08 47 ID PG3vUGv2 確かに。この3人はどれも美味しいからなぁ。 こなかがもいいし。かがつかも…、て、スレチすまん 526 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/11/22(土) 20 04 12 ID UPO6Lsnh こなた「さてと、前回つかさに早朝裸エプロン攻撃をされた仕返しをしなくちゃね」 (←今さら) ピンポーン つかさ「あー、こなちゃんだね?(←チャイムの押し方で分かった) 今開けるから」 こなた(フフフ、流石にこのつかさの顔写真をプリントしたTシャツを見たらつかさも動揺するよね。 これ着て町中歩くのはかなりの羞恥プレイだったけど、つかさの恥じらう顔が見れれば安いもんさ) ガチャッ つかさ「おはようこなちゃん、こなちゃんから来てくれるなんて珍しいね」 こなた「つ、つかさ……?」 つかさ「ささ、入ってよ。こなちゃんがいつ来てもいいようにお菓子作ってたから」 こなた「えーと、とりあえず今つかさが抱いてる、等身大人形的なものについて聞こうかな」 つかさ「え?ただのこなちゃん型抱き枕だけど?」 男子生徒A「なるほど、つかささんはああいうのがタイプなのか……」 かがみ「で、アンタはうちの庭で何してんのよ」 男子生徒A「いえいえ、俺はただの参拝客ですから柊(姉)さん」 かがみ「いい加減人の下の名前くらい覚えろよ!!」 527 名前:2-613[sage] 投稿日:2008/11/22(土) 22 42 37 ID zhssVBuP どれも萌えるからいいんだいと言ってみる節操なしの私。 ってかみゆきさんにも愛の手を…ともっとスレチをほざく阿呆。 523 妹離れできないかがみん萌えw 「私がついてるからかがみはいいよ」なんてこなたは言わなさそうですしねw 526 ああこなたは結局何をやってもつかさの上を行けないわけですな…wぐっじょぶですw 539 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/11/26(水) 01 21 35 ID m8DbPfq6 「こなちゃーん!」 「!!つかさ、メイド姿でどうしたの!?」 「か、かわいいかな…?」 「めちゃくちゃかわいい…////」 「じゃぁ、私を召し上がれ☆」 「ぶっ…つかさ、もしかして…」 「なーに?」 「…酒臭い…やはりか」 543 名前:2-613[sage] 投稿日:2008/11/26(水) 13 48 44 ID l2cuGJrB 「つかさは意外と強そうだねお酒」 「んー…そうかなぁ?たまにお正月に御神酒飲んだりするけどそこまで飲んだことないからわかんないや」 「逆にかがみは一口で潰れそう」 「お姉ちゃん毎年「未成年に飲ませるなぁー!」って止めてるからもしかして飲んだこともないのかも」 「まじめなかがみらしいなぁそれ…で、つかさは飲んでるんだ?」 「えへへ、一杯だけー。まつりお姉ちゃんとかいのりお姉ちゃんが飲ませるから…。そういえばこなちゃんは飲めるの?」 「うーん…多分飲めないことも無いと思うんだよね。でも…」 「でも?」 「普段酔っ払った姉さんに絡まれてるからアレを見たら…最近はゆーちゃんが家にいるからしなくなったけどね」 「おじさんは飲まないんだ?」 「そういえばあんまり晩酌してるの見ないなぁ。うちにあるお酒ほとんどが姉さんのだし」 「成実さんそんなに飲むんだ…」 「警察官なのが信じられないくらいだよ色んな意味で…」 「ゆきちゃんはどうなのかなぁ?」 「みゆきさんがお酒飲んだら…想像つかないや。一口で真っ赤になってふらふらなみゆきさんも萌えるけど実は内臓まで完璧超人だったりしそう」 「先生は?」 「あー先生はそれこそザルでしょ。いかにも毎晩ビール片手に野球中継って感じだしね」 「おじさんみたいだねそれ」 「ほぉぉ?泉、柊?お前ら後で職員室に来い」 「「げ(はう)…いつから聞いていらしたんですか先生…」」 「誰がおっさんや誰がー!」 「べ、別にそんなつもりじゃなかったんです先生ー!」 544 名前:1-724[sage] 投稿日:2008/11/26(水) 21 46 36 ID 9rcYyKHm 「おっさんはないやろ、まだまだ若いでウチは」 「じゃあ、消費期限切れの親父ギャルですネ」 「泉ィ~言い残すことはないかァ(ハーッ)」 しかし振り下ろしたななこの教科書はつかさの白刃取りにはばまれた… 545 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/11/26(水) 23 02 55 ID m8DbPfq6 こなちゃん言い過ぎだよ。 でも、先生。私のこなちゃんには、暴力は許さないです。 546 名前:913[sage] 投稿日:2008/11/27(木) 07 44 40 ID GxIcPcqe つかさの白刃取りというと何故かリボンで受け止めているイメージが浮かんでくるから困る(末期ダ ( A ; 548 名前:1-724[sage] 投稿日:2008/11/27(木) 19 04 20 ID CN8NuVqh 546 つかさの本体はリボン こなたの本体はアホ毛 という説もあるようです ところでPIXIVはromのみですか? 549 名前:2-613[sage] 投稿日:2008/11/28(金) 01 26 32 ID Hg3AmcQC 546 勿論本来白刃取りするはずの手はしっかり空振りなんですね。 振り下ろされる教科書! 「真剣白刃取り!」 パチーン!バシッ! 最初の擬音は空振りして両手を叩いた音。 二つ目が本命。なんとリボンで見事に教科書をキャッチしたつかさのリボンなのであった! 「あー…これは取れなかったつかさをさすがと言うべきかあのリボンにどんだけーって突っ込むべきなのか判らないなぁ」 「こなちゃんそれどっちもほめ言葉になってない気がするよぉ」 「気のせい気のせい。気にしなーい」 「いや…ほんまそのリボンどないなっとんねん…もうええわ…」 がっくり肩を落として職員室に引き返す黒井先生なのでしたとさ。めでたしめでたし。 「ってめでたないわー!!」 550 名前:913[sage] 投稿日:2008/11/28(金) 08 50 13 ID Y31BkmTx 548 やはり核弾頭は皆頭部に…! ちょうど犬のしっぽみたいに、その時の気持ちで動きが変わってますしねw pixvは一度投稿してみようかなぁと一枚投稿したらUPしやすくてちまちまやってます。 つかこな魂は全てこちらへ注ぎ込んでるんであちらには一枚もありませんがorz 549 こなちゃんの感想が的確すぎるww 誰もが悩むそのリボン、その正体はつかさすら知らない… 553 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/11/28(金) 21 02 55 ID Od1HdfMc つかさ「こなちゃんの頭を叩くなんて酷いです!! どうしても叩くならお尻にしてください!!出来れば私の目の前で!!」 552 名前:1-724[sage] 投稿日:2008/11/28(金) 19 38 04 ID KTV4PdOw 2-613氏 後乗りはともかく、他キャラ絡めはCPスレではこのスレが独自ルールに近いほど曖昧なだけで 他スレでやるのは危険かも知れませんよ 554 名前:2-613[sage] 投稿日:2008/11/29(土) 10 09 14 ID fc7DJrB8 552 以後気をつけまする。申し訳ありません。 555 名前:2-175[sage] 投稿日:2008/11/29(土) 14 19 30 ID bGtw6GJM いつもこのスレで自分の +かがみネタ エロすぎネタ をいつ突っ込まれるかどうかヒヤヒヤな自分ですw 三女&四女スレは、他の柊家一同(主に次女)とかだとセーフな雰囲気が漂ってますね…… アホ毛&リボン本体 少なくても神経が通ってるという説も何処かでよく耳にします。 こなたのアホ毛は弾力があるとかどうとかw 今更1-724さんの 102を読み返してふと思い立ったKOUSOKUネタw かがみ「さて、それじゃあ小一時間出かけてくるわね」 こなた「あの~ 所でかがみ様?」 つかさ「何で私達縛られてるのぉ~!?」 かがみ「だってあんた達、どんなに注意しても二人っきりになるとすぐに服を脱いでイチャつくじゃないの。 ……もうかなり寒いんだし、そんなんじゃ風邪ひいてしまいそうで……心配なのよ……」 つかさ「うぅ~ 寒くなんかないもんっ こなちゃんをギューってするとポカポカになるんだもん」 かがみ「抱き締めて暖まるのは脱がなくても出来るでしょ。それじゃあ行ってくるわね」 トタトタ つかさ「グスッ こなちゃんを抱き締めたいよぉ~(ジタバタ)」 こなた「つかさ、ちょっと私と背中合わせになって」 つかさ「ふぇ!? う、うん」 ゴソゴソ こなた「後ろ手でつかさのを……よしっ 解けた」 つかさ「こなちゃぁ~ん 抱き締めてあげられなくて寂しかったよぉ~(ガバッ)」 こなた「ちょっ つかさっ 抱き締める前に先に私の縄を……アッ――」 556 名前:1-724[sage] 投稿日:2008/11/29(土) 16 39 41 ID RehvV93C 555 でつかさが一方的にこなたを可愛がっている最中にかがみが帰ってきて 「(ガチャ)どう、少しは懲りた?」 「「えっ」」 「つかさ、こなたに何をしてるの?」 「え、えっとぉ」 「あ、あのさ、無理やり縄抜けしたから、体中痛くってさ」 「そ、そう、だからさすったり、ほぐしてあげてたんだ」 「ふ~ん?それで、つかさが『こなちゃん、ここは気持ちいい?』とか言ってたのね」 「「!」」 ↑ここまではいつもの1-724のパターン ↓2-175氏を倣って(おいっ)もうちょっと頑張ってみます 「それじゃあ(ゴソゴソ)」 「あの、かがみ?」 「ふうっ、さすがにちょっと恥ずかしいわね」 「おねえちゃん、どうして服脱いだの?」 「私もマッサージしてもらおうかな、買い物の荷物が多かったので疲れちゃってさ」 「…つかさ、ちゃんと知ってもらったほうが」 「うん、こなちゃん」 「やっちゃおうよ、もう」 「そだね、一度ちゃんとね」 「?…だからマッサージをやってとお願いしてるんじゃないの、え、ええ?つかさ、こなた?」 その日かがみは、こなたとつかさのある意味でのマッサージで、大人の階段をひとつのぼりました 554 いえ、出すぎたことを申し上げました、すみません 555 あちらは完走で4スレ目の積み重ねですからスレのカラーははっきりしてますね 自分が姉妹ネタをやると某所に保管していただいてるようなかがみが妹離れできない話になってしまいます 565 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/12/04(木) 11 40 59 ID vmIXz9aw クリスマス、こなたは自分のフィギュアを売ってそのお金でつかさにまな板を買いました つかさは自分の包丁を売ってこなたにフィギュアのディスプレイケースを買いました プレゼント交換の段になって呆然 ちなみに男子生徒Aはつかさにケーキを買いましたがかがみに取られました 566 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/12/04(木) 21 48 00 ID 1cMKGDJF まな板をケースに飾ってこなつかモーマンタイ 567 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/12/06(土) 07 52 46 ID WB/o1/Kt まな板の上のこなちゃん 600 名前:2-613[sage] 投稿日:2008/12/19(金) 14 31 46 ID brqN+voX 599(のイラスト)で落ちてきた電波。 「こなちゃん私のこと犬みたいって言ってたけど、こうしてるとこなちゃんのほうがわんちゃんみたいだね」 「うーん…つかさの前だとこうなってしまう私の仕様が悲しいような嬉しいような…あーつかさがあったかくて気持ちいい~」 「ちょっとこなちゃん~胸にスリスリしないでよぉ」 「キツネさんはいたずら好きなのだよ」 「もー…あ、そうだ(むぎゅ、と尻尾掴む)」 「うにゃ!つかさぁ…尻尾掴んじゃだめだよー…(ふにゃー、と力抜けて)」 「あははは、こなちゃん猫ちゃんみたい」 「犬になったり猫になったり私って忙しいなぁ…」 600ゲット記念の保守。 601 名前:913[sage] 投稿日:2008/12/19(金) 21 39 35 ID Z02gcPcZ 600 犬や狐や猫の受け的要素が全て練りこまれたのがこなちゃんって感じがして可愛いですねw 悪戯好きで甘えん坊で尻尾が弱点。こ…これは…反則だ… 悶絶ならぬ萌絶しました、GJです。 604 名前:2-175(規制中)[sage] 投稿日:2008/12/20(土) 21 38 40 ID 2/SDuNcr つかさ「こなちゃんってちっちゃくて可愛いよねー」 こなた「もうっ! つかさはいつもそればっかり。 同い年の子に言われるのは複雑だよ」 イジイジ かがみ「あーあ、こなたの奴拗ねてしまったじゃないのよ」 こなた「ふん!(ぷぃっ)」 つかさ「ちっちゃい子みたいに拗ねちゃうこなちゃん可愛い~~」 ギュゥ~~ こなた「うわぁっ! つ、つかさ、今私は怒って……ヒャンッ つ、つかさごめんっ 謝るからっ くすぐったいから止めてぇ~~」 609 名前:イクシデズタル(元594) ◆P5TPu/OBR2 [sage] 投稿日:2008/12/23(火) 03 22 11 ID M88toJLa おひさしぶりです まだクリスマスには少し早いものの、絵を作って持ってきたお(´・ω・`) わだすが地味に好きなバイトチームとご一緒にさせていただきました。 こなた以上のポジティブシンキング・ハイで周りを自分色にするパトリシアさん 最初はらきすたキャラだとばかり思っていた無口一色長門さん そして我らがアイドル、そのロrプリティーな容姿は観客を一瞬で魅了しますこなたさん つかささん混ぜても違和感なくてよかったです というわけでメリークルしmクリスマス!!(´・ω・`)ノ ttp //momoiro.s4.x-beat.com/up/img/momoiro08227.png 600 「うにゃ!つかさぁ…尻尾掴んじゃだめだよー…(ふにゃー、と力抜けて)」 ふにゃー フニャー・・・ も、萌えた・・・GJ(´・ω・`) もっとフニャーかわいいしてくださいお願いします 604 ぷいっ!とかやめてください萌え死んだらどこへ昇天すればいいのですか(´・ω・`) 隅にまるまって拗ねているこなたがもう頭の中で想像してこれが脳裏からはなれないわけなんですよ それでつかさがそのこなたをもみくちゃに可愛がっちゃうとか思っただけで鼻血が止まらないわけなんですよ 最終的に何がいいたいのかというともっとやってくださいGJってわけなんですよ(´・ω・`) ■トップページに戻る コメントフォーム 名前 コメント
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流血少女・プロローグ ――私たちの学園は呪われてる。 どうか、みんなを助けてください――。 そう少女は言い残して力尽きた。 校門まで続く流血の跡が、少女の傷の深さをうかがわせる。 「いったいどうするよ?」 一人が皆の顔を見る。 少女の身なりを見るに他校の生徒であろう。だが、少女の着ている制服は、羅漢のものとも違う。彼ら希望崎の生徒と縁があるとは思えない。 少女は突然この希望崎学園へと現れた。それも全身ぼろぼろで、大量の血を垂れ流しながら。 謎の来訪者を前に、希望崎学園は騒然となった。ハルマゲドンの幕開けだと大騒ぎするバカも現れるほど、学園はそのとき平和だった。平和すぎた。 校門の前にどっと人が押し寄せ、少女の最期の言葉を聞いた。しかし、その発した言葉は、あまりにも短く、集まった生徒たちは途方に暮れていた。みなが立ち尽くす中、一人がぼそりと呟いた。 「その校章……たぶん、妃芽薗の子だと思う」 その言葉を聞き、校門に集まった者たちは互いに顔を見合わせる ――妃芽薗。 その名は彼らにとって、聞きなれないものだった。 「えっとね。妃芽薗って言うのは、まだ卒業生も出てない新設の女子校で、あんまり有名じゃないから知らなくても無理ないと思う」 女子校。 そのフレーズで男子生徒たちの目の色が変わる。 「ここで、一肌脱がなきゃ男じゃねえっしょ!」 「ふっ、女子校か……。と、なるとイケメンの代名詞たる、この僕の出番じゃないかな?」 「女の子……喰う。俺、女の子、好き」 盛り上がる男子を尻目に、女の子たちは話を進める。 「じゃあ、妃芽薗に行って直接話を聞きに行く?」 「無理だよ……、あそこ監獄みたいになってて、一度入ったら出入りはおろか、連絡すら取らせてもらえないって噂だもん」 「そうだよ! うちのにぃも、『世界を掴んでくる』って言い残して帰って来ない!」 「てかさ、なら、その子はどうやってここまで来れたのよ」 「思うに、あの傷で妃芽薗からここまで来れるのかなって。血の跡もずっと向こうで途絶えてるし、たぶんテレポーテーションのような能力を使ったんじゃないかなー?」 「へー。てれぽーてーしょんねー。まぁ、何かあったのは事実だろうけどさー、ぶっちゃっけ、うちらにできることって無いよねー」 「だよねー。男子は乗り気みたいだけど」 女子は女子で盛り下がっていく中、男子たちも話はそれぞれの性癖についてへと話が脱線していく。 最早、妃芽薗を助けるという雰囲気でもなくなってきたころ、突如として影が現れる。 「話は聞かせてもらった!」 話合いに割って入る声。 「明日、俺たち番長グループは妃芽薗に遠征に行く」 突然の発表に周囲が騒然とする中、その場に居合わせた生徒会らは、ぎらりと目を光らせる。 「あなたたち、戦争にでも行くつもりですか?」 「言わずもがな! 助けを請われてその手を拒むとは、魔人の風上にも置けん」 「あなたたちからそのような言葉を聞けるとは……。いいでしょう、我々生徒会も全面的に協力しましょう!」 生徒会と番長グループの代表は互いに固く手を握り合う。 その場に居合わせた一同が、その場のノリで拍手をする中、生徒会と番長グループは内心ほっとしていた。体面的には格好をつけては見たものの、生徒会と番長グループには共通した別の思惑がある。 ――生徒会長と番長が、妃芽薗に行ったっきり帰ってこない。 両リーダーの面目を立てながら、どう秘密裏に救出するかを互いに思案していた中、今回の出来事は絶好の機会でもあった。 だが、彼らはまだ想像すらしていない。この先、彼らを待ち受けている争いの戦火を。 今はただ笑顔の裏で、互いに相手をどう出し抜くかを考えている。やがてはその余裕もなくなるだろう。 妃芽薗に一歩足を踏み入れた瞬間から――。
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63 名前:通常の名無しさんの3倍 :2010/08/03(火) 03 13 15 ID ??? プロトゼロ「いつか俺達も紛れ込んでみせる・・!」 レイラ 「無理しないで」 ライデン「そいつは諦めたほうがいいぜ」 マツナガ「・・・そうだな、その方がいい」 デューン「スリーDの時代がきた、と聞いたのに」 ミケル 「気のせいですよ」 66 名前:通常の名無しさんの3倍 :2010/08/03(火) 19 42 00 ID ??? 63 ドズル「“すりーでぃーてれび”とやらを買ってみたが、二重に見えるだけではないか!!」 ガルマ「これをつけて観るものなんですよ、どうぞ」っ3Dメガネ ドズル「こんな面倒なものを…」(ペキッ)←フレームが折れた音 ミネバ「父上が怒ってましたが、どうされたのでしょうか?」 ガルマ「まぁ色々とあってね…アハハハ(苦笑)」 (後で特注のメガネを作ってもらうよう頼んどくか;)
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さようなら、またいつか ◆p8ZbvrLvv2 ――――それでは、六時間後、また生きていたら、あいましょう。 そんな言葉を残して、放送が終わる。 輿水幸子は座ったまま膝を抱えて、ばんやりとその声を聞いていた。 また新たな禁止エリアが増えて、何人かの人間が死んで。 そのことが恐ろしくもあり、悲しくもあった。 (蘭子さんと……ゆかりさん……) 二人の名前が呼ばれることは当然のことだった。 けれど呼ばれた瞬間、やっぱり身体の震えが止まらなかった。 肌で感じた死が、無機質な何かに決定付けられるようなおぞましい感覚だった。 (死んで、しまった) (あの二人が死ぬことの無かった道が、あったのかもしれないのに……) (それでも、死んでしまった) (少なくとも、蘭子さんは死ななくても済んだはずなんです) (ボクが、逃げたりしなければ……) 事実、幸子すらしっかりしていれば神崎蘭子が命を落とすことはなかったのかもしれない。 分岐点はたった一度きりではなく、二度あった。 一つ目は、不用意な発言で蘭子と決裂してしまったとき。 あのときにすぐ謝っていれば、彼女も立ち去るまではしなかっただろう。 なのに臆病な少女はその怒りを直視することができなかった。 ただ、目を背けてやりすごすことを選んでしまった。 二つ目は、水本ゆかりに危うく殺されそうになったあのとき。 確かに直接救うなんて大それたことは難しかっただろう、それでもチャンスはあった。 せめて銃で牽制を続けていれば、蘭子が異変に気付いたかもしれない。 ゆかりに対して、せめて立ち向かう覚悟を固める時間を稼げたかもしれない。 幸子がもう少し周りを見ることさえ出来ていれば、この状況に早く向き合ってさえいれば。 (ごめんなさい……ごめんなさい……) (もう、救えない、もう、償うこともできない) (こんなボクに、何ができるって言うんですか……) もう涙すらも出てこない。 さっきは自分らしく生きると、そう宣言したはずなのに。 ここから一歩も動ける気がしなかった。 罪悪感が、幸子自身をがんじがらめに縛りつけていた。 罪の意識に縛り付けられた輿水幸子へ、一人の少女が様子を窺っている。 少女の名前は、星輝子。 先程は水本ゆかりの襲撃に立ち向かい、そして相手を殺害することでこれを退けた。 しかし今は、極度の興奮状態がもたらしていた高揚感は嘘のように消え去っている。 それは、単純に自分の行った行動に対して冷静になっただけではない。 (し、死んじゃった……美優さん、まで) また、大切なトモダチを失ってしまったから。 このことが、より死というものの重みを思い出させたから。 自分は人を殺してしまった。 輝子が美優の死を嘆くのと同じように、ゆかりの死を嘆き悲しむ人間はきっと居る。 その気持ちが分かるから、共感できてしまうから。 仇を討った満足感なんて、消え失せてしまった。 (け、けど……後悔はしてない、よ) (だ、大事なトモダチに、あんなヒドイことした、から) けれど、だからこそ、ゆかりが蘭子を殺めたことは許せなかった。 死んでしまえば多くの人間が悲しむというのに、そんな酷いことをするなんて。 自分自身の取った行動がその考えに矛盾していることは分かっている。 だからこそ、それが輝子の偽らざる本音だった。 (幸子……お、落ち込んでる……声、掛けられない、な……) しかしそんなこともあって、今の輝子はすっかり変身?が解けてしまった。 今もこうやって物影からコソコソと観覧車の下を窺うことしか出来ない。 実際のところ、放送が始まる前に余裕をもって合流は出来たはずなのに輝子はそれをしなかった。 逆を言うならばそれは、彼女自身の本質が変化したわけではないという証明でもあった。 (け、けれどこのままじゃ……また危ない人が来るかもしれない) (と、とりあえず仇討ちの報告、しなきゃ) いくつもの強い悲しみを抱えながら、輝子は手元にあるツキヨダケの鉢植えを抱きしめる。 もう、これ以上トモダチを失いたくないから。 だから輝子は、物陰から一歩を踏み出した。 後ろから足音がした時、輿水幸子は少し驚いた。 もう、とっくに見捨てられたものだと思っていたから。 けれど自分はさっきもまた、酷い言葉をぶつけてしまっていて。 だから合わせる顔もなく、俯いたままだった。 「…………ぅ」 流石にこの光景は星輝子にとってもかなりの衝撃だったらしく、息を呑む気配が伝わってきた。 自分の横まで歩いてきて、そしてそこで立ち止まった。 幸子は声をかけられた時どう反応すればいいのだろうと迷っていた。 けれど、その考えは無用だった。 「ら、蘭子……仇討った、よ」 「助けられなくて、ごめん、ね」 「――蘭子。 もう、今更だけど。 こ、こんなことに、意味なんてないって、わ、わかってるけど。 それでも――これで、蘭子のこと、『トモダチ』って呼んで、いいですか――」 そう言って、輝子は寂しそうに笑う。 それが、なによりも幸子の心を抉った。 (ボクさえ……ボクさえ足手まといにならなかったら) (きっと輝子さんも蘭子さんも今頃二人で強く生きてたんだ) (それを……全部台無しにしてしまうなんて) 幸子はとうとう、組んだ腕に顔を突っ伏す。 責められてしまうんじゃないかと、怖くて仕方なかった。 結局何一つ変わらない自分に、少し嫌気が差していた。 「さ、幸子……あの、さ」 「…………!」 とうとう来たか、と思う。 せめて耳だけは塞がずに最後まで聞こう。 それが怒鳴り声だろうと、冷ややかな失望に満ちた声であろうと。 何も出来ない自分の、せめてもの償いなのだから。 「さ、幸子が望むなら、もう私はついていかない、から」 「……え?」 思わず顔をあげて輝子の顔を見る。 その表情は、幸子の想像していたものとはいずれも違うものだった。 普段と変わることのない気弱で、どこかぎこちない笑み。 「どう……して?」 「フヒ……だって、私……人殺した、から」 「それは……」 確かに、許されないことだと思う。 アイドルである以前に、人間として当たり前のことだから。 けれど幸子は、言葉ほど輝子を責めていたわけではなかった。 それは結局、自分の弱さが言わせた八つ当たりに近いものなのだ。 元を辿ればほとんど全てが幸子の招いた結果であり、輝子はその尻拭いをしたに過ぎない。 その結果として殺人を犯したというのは正しい行いではないけれど、 自分にそれを咎める権利があるとも思えないから。 「だから……もう幸子が嫌なら、ぼ、ぼっちに戻ってもいいかなって……」 「あ……」 駄目だ。 それじゃあ、自分は堕ちていくだけだ。 責任を全部他人に押し付けて、ただ悲しむだけ。 それじゃ、駄目なんだ。 だって、その行きつく先にある現実逃避と言う忌まわしい行いの果てに、蘭子は死んでしまったのだから。 ――――また意気地のない自分の所為で大切なファンまで失う、そんなのは嫌だ。 「そんなわけ……ないですっ!」 「えっ……あっ……さち、こ?」 気付いたら輝子を引き寄せて思いきり抱きしめていた。 かなり不意を突かれたらしく、輝子は目を白黒させながらされるがままになっている。 けれど幸子はそんなことも気に留めず、ただ感情のままに叫んだ。 「むしろアナタの方がボクを責めるべきでしょう!?」 「えっ……な、なんで、殺したのは私なの、に」 「原因を作ったのはボクなんですよ!全部ボクが居たから……」 「幸子……」 「ごめん……ごめんなさい……許して……許してぇ……」 枯れてしまったはずの涙が再び溢れてくる。 ただ子供のように輝子に縋って、嗚咽を漏らす。 そうすることしか、出来なかった。 「幸子……それは……違う、よ」 「えぐっ……ううっ……ああっ……」 「だって、あの人に襲われたとき……私だって逃げちゃった、から」 「ひぐっ、うっく」 「だから……お、おあいこ、だよ」 「…………おあい……こ?」 「う、うん、だから悲しいのも……苦しいのも、半分こ」 喪失感も、罪悪感も二人で分け合う。 幸子にとってそれは救いでもあり、思ってもみない提案だった。 けど、不思議と抵抗はない。 だって輝子とはずっと一緒に居たから、信頼できると思えるから。 けれど。 本当にそんなに甘えてしまっていいのだろうかと少し躊躇いがあった。 「輝子さんはっ……それで……いいんですか?」 「べ、別にいい、だって、だって……」 「輝子、さん?」 「私だって……悲しいから……苦しいから……! ら、蘭子が死んじゃって、人を殺しちゃって……! トモダチの美優も居なくなって……! も、もうやだ……幸子まで、居なくなっちゃヤダ……!」 いつのまにか、輝子も泣いていた。 幸子は当たり前のことを忘れていたのを思い出す。 輝子だって、辛いんだ。 一人で抱え込むことなんて出来ない、だから誰かと気持ちを分け合いたい。 そんな簡単なことにすら、気付けなかった。 「だったら……一緒に泣きましょう」 「え……?」 「もうこんな思いをしないように、蘭子さんのことを思って泣くんです!」 「あ……」 「そうすれば……この悲しさも無駄にならないから……きっと蘭子さんも喜んでくれるから……っ!」 「さち、こ……さちこぉ!」 輝子と幸子は抱き合って、声をあげて涙を流す。 救うことの出来なかった少女のために。 それが一番の弔いになると信じて。 異国の地に、こんな風習がある。 大切な人が亡くなってしまったとき、大声で泣き声をあげるのだ。 きっとそれは、死んだ人が寂しくならないように。 絶対にその人を忘れないという気持ちを込めて、最後の別れを告げているのだろう。 そうやって、人の生きてきた時間や想いを背負っていくのだろう。 だから二人は、蘭子のことを絶対に忘れてしまわないように。 彼女の生きてきた時間を無駄にしないためにも。 ただ、力の限り泣き続けた。 それから、しばらくして。 泣き止んだ二人は改めて蘭子に懺悔と報告をした。 それが届くのか、分からないけれど。 今の二人に出来る限りの気持ちだった。 その後、少し迷ったけれど血の河はそのままにしておくことにした。 申し訳ない気持ちはあったが、こういった時の専門的な作法は二人の知識にはなかったから。 だからせめてと思い、原型を留めている部位は二人で拾い集める。 なんとか服を汚さずには済んだが、靴に血が染み込んでしまった。 そして輝子がどこからか見つけてきた緊急搬送用のストレッチャーにそれらを乗せて、運んでいく。 少し前まで居たスタッフ用のエリアの特に誰も立ち入らなそうな部屋まで。 そこに下ろすと、布を被せて誰にも見られないようにした。 「終わった……ね」 「……そう、ですね」 虚しく、物悲しい作業だった。 「しっかし……前から思ってたけどアナタ結構抜け目がないんですね」 「フヒ……こ、この状況なら仕方、ない」 いたたまれなくなったのもあり、二人は休憩スペースまで移動していた。 ようやく少し調子を取り戻した輿水幸子が、腫れぼったい目で呆れたように星輝子を見やった。 輝子の手には、返り血に染まったデイバック。 無論それは輝子のものではなく、蘭子の血であった。 「あのゴンドラが来た時にスッと居なくなったと思ったら、こんなもの持ってきてたんですか」 「ら、蘭子の残したものは……無駄に、したくないから」 「確かに……そうですね」 幸子が吐き気を堪えながら死の河に踏み入っている時、輝子は血染めのゴンドラに向かっていた。 そして、見当たらなかった蘭子のデイバックを回収して今に至る。 「そういえば……ボクもこんなものを見つけましたよ」 「……?そ、それ……首輪?」 「ええ、ほぼ間違いなく、蘭子さんのものでしょうね」 そう言って幸子は首輪を掌に乗せてよく見えるように示した。 いつの間にかポケットに入れていたそれは、幸子にとっては戒めでもあると言う。 だから、これからも持ち歩いていくつもりらしい。 「そ、そういえば……これがこんな風になってるのも、それが原因?」 「それは……蘭子さんの?」 「フヒ……分かんないけど、光、映らなくなった」 「確かに……」 輝子の方も端末を取り出して、差し出す。 持ち主を示していた筈のポインタが、消えてしまっていた。 どうしてだろうと二人は考え込む。 首輪が壊れたのか、端末が壊れたのか、それとも。 「蘭子さんが死んでしまったから、でしょうか」 「く、首から外れたから……かな?」 情報量が少ないだけに、判断が難しかった。 色々と頭を捻った結果、どちらかが故障した可能性と言うのは片方否定された。 流石に地図はちゃんと表示している以上断定は出来ないが、端末が壊れたということはないだろう。 だったら消えた理由があるはずだ。 「いずれにせよ、この首輪が関係してるんでしょうね」 「き、機械に詳しい人が居れば、分かる……かも」 「アイドルで機械の詳しい方なんて……そんなマニアじゃあるまいし」 「け、けど……こ、これがあれば私たちのも外せる、かも」 「……流石に難しいと思いますけど、首輪が無いよりは可能性があるでしょうね」 双方これからどうするかと迷っていたのもあって、この話題は貴重だった。 もしかすると、この首輪が何かの役に立つのかもしれない。 とりあえずは襲い掛かってこなさそうなアイドルを探して慎重にアテを探ろうということになった。 輝子はともかくとして、幸子は機械に詳しいアイドルが居るかについては半信半疑の様子だったけれど。 「って言うか、アナタいつまでそんな恰好してるんですか」 「フヒ……いざという時に備えて、もうこのままでもいい……かな」 「……まあ、それならもう何も言いませんけど」 また襲われるようなことがあるかもしれないからと、輝子の恰好は変身後のままだった。 流石にテンションは既にいつも通りだけど、これなら上げていけないこともないだろう。 と思う輝子であったが、幸子は溜息をつきながら呆れ混じりな様子で苦笑していた。 (よ、良かった……幸子、なんとか元気になってくれた) けどそんな幸子を見ながら、輝子は密かに安堵していた。 物陰に潜んでいたときはもう立ち直れないようにも見えたからだ。 けれど今は気を取り直して、前に進もうとしているように見える。 (これで……ずっと心配しなくても、済んだ、かな) 幸子についていかないと言ったのは、半分嘘だった。 もし拒まれたときは離れるフリをして、こっそり後からつける予定だった。 トモダチを傷つける奴は許せないから。 だからもし誰かに襲われそうになったときは飛び出して庇うつもりだった。 そうせずに済んで、ほっとしている。 だから、これからも守っていきたいと、思う。 「ふう……これで、よしっと」 「フヒ……や、やっぱり、大変だった、ね……」 外に出ようとした二人であったが、まだやらなければいけないことがある。 入口近くのメリーゴーランド付近に、もう一人の少女が居るから。 輿水幸子と星輝子は水本ゆかりの死体をすぐ傍の死角へと運んでいた。 その傍らには場に残っていた刀などの武器や支給品もある。 流石にこちらは五体満足で運ぶには労力が必要で、裏方用のエリアも遠かったからあらかじめ相談済みだった。 そして用意していた布で彼女をすっぽりと覆う。 やっぱり、虚しい気分だった。 「蘭子さんのことはボクも許せませんけど……今はゆっくり眠ってください」 「……幸子と、お、同じ」 二人で、手を合わせる。 手段は認められなくとも、ゆかりとて生き残りたい理由があったのだろう。 だから責めるだけじゃ可哀想だと幸子は思う。 輝子は自分が殺したと言っているけれど、結局は自分も加担したようなものなのだ。 悲しみも苦しみも分け合うのなら、罪も半分負わなければいけない。 今度からは、そう在りたいと思う。 「それじゃあ行きます……っと、ちょっと待っててください」 「え……幸子?」 「……あった……ボクもなんだかんだで、抜け目はないんですよ」 「あ……フヒ……」 輝子を呼び止めて、メリーゴーランドの中へ幸子が入っていく。 少しして出てきた幸子の手には、かつて自らが投げ捨てた拳銃が握られていた。 何もこれを使おうというわけではない。 ただ、万が一誰かが拾ったときにまた悲劇が起こってしまうのは嫌だから。 「さて……それじゃあ今度こそ行きましょうか」 「う、うん……ゴートゥーヘル?」 「ま、まぁ地獄と言えば地獄ですけど……縁起悪いしやめてくださいよ」 グロック26の様子を確認しながら、幸子は顔をしかめる。 二人は今でこそ安全なこの世界を抜け、再び危険へと身を投じる。 輝子は鼓舞するつもりで言ったのだろうが、やっぱり何処かズレていると思った。 そして幸子は、そんな彼女に言わなければいけないことがある。 「……輝子さん、もうアナタに人殺しなんて絶対させません」 「幸子……?」 出入り口の門に差しかかった時、幸子は輝子にそう宣言した。 まず、最初にやるべきことだと思ったから。 「ゆかりさんを殺したのは、ボクの罪でもあるんです」 「そ、それは違う、よ」 「いいえ、だってボク達は悲しみも苦しみも……罪も、半分こなんでしょう?」 「それ……は……」 「ボク自身の罪を重ねないためにも、これ以上殺人なんて繰り返しちゃいけないんです。 だから、もう軽々しいことはしません。 これからは目を背けたりせずに、ちゃんと相手を見極めようと思います。 だから、人を傷つけるのはやめましょう」 「…………うん」 輝子はそう頷いたけど、納得したようには見えない。 今はそれでもいいと思う。 大切なのは、抵抗せざるを得ない状況を避けることだ。 それを自分に言い聞かせるための宣言だった。 (蘭子さん……ゆかりさん……ごめんなさい) (ボクの所為で二人は……死んでしまった) (だけど、このまま嘆いてても何も変わらないんです) (それは、二人の生きてきた時間を無駄にすることだから) (輝子さんと泣いて、やっと気付くことが出来ました) (だから、ボクはボクに出来ることをやろうと思います) まだ支え合ってくれる友が、ファンが居る。 だから、輿水幸子はもう一度立ち上がって、進んでいく。 もう間違えない、もう現実から目を背けたりはしない。 それが、過ちを犯してしまった己への償いだから。 幸子はもう一度だけ、後ろを振り返った。 絶対に、忘れない。 カワイイ自分でいるのと同じくらい、大切なこと。 命を、生きてきた時間を、背負っていくこと。 (……さようなら、またいつか) そして、前を向いた幸子は、もう二度と振り返らなかった。 ――――――歩んでいく二人の姿を、堕天使の少女が少し寂しそうに。 ――――――けれど、とびきりの笑顔で見送っていた、かもしれない。 【F-4 遊園地入場門/一日目 日中】 【星輝子】 【装備:鎖鎌、ツキヨタケon鉢植え、コルトガバメント+サプレッサー(5/7)、シカゴタイプライター(0/50)、予備マガジンx4】 【所持品:基本支給品一式×2(片方は血染め)、携帯電話、神崎蘭子の情報端末、 ヘアスプレー缶、100円ライター、メイク道具セット、未確認支給品1~2】 【状態:健康、いわゆる「特訓後」状態】 【思考・行動】 基本方針:トモダチを守る。トモダチを傷つける奴は許さない……ぞ。 0:幸子が元気になって……良かった。 1:機械に詳しい人……だれかいないかな。 2:マーダーはノーフューチャー! ……それでも幸子が危ないなら、しなくちゃいけないことなら私がするよ。 3:ネネさんからの連絡を待つ。 【輿水幸子】 【装備:グロック26(11/15)】 【所持品:基本支給品一式×1、スタミナドリンク(9本)、神崎蘭子の首輪】 【状態:胸から腹にかけて浅い切傷(手当済み)】 【思考・行動】 基本方針:かわいいボクを貫く。 自分に出来ることをやる。 0:機械に詳しい人を探す……って、ホントに居るんでしょうか? 1:もう輝子さんには、人殺しなんてさせません。 2:今度からは、他の人をちゃんと警戒しましょう。 3:……もう、現実から目を逸らしたりはしませんよ。 ※神崎蘭子の死体の原型を留めている部分は、スタッフ用エリアの部屋に布を被せて安置されています。 なお、集める際に幸子と輝子の靴底に血が染み込んでいてそのままです、そのため遊園地内に靴跡が多少残っています。 ※水本ゆかりの死体と散らばっていた残りの所持品は、メリーゴーランド近くの物陰に蘭子と同じようにして安置されています。 前:KICKSTART MY HEART 投下順に読む 次:Life Goes On 前:悪魔のささやき 時系列順に読む 次:another passion 前:彼女たちの心を乾かすXIX(太陽)――ナインティーン 輿水幸子 次:ボクの罪、私の罪 星輝子 ▲上へ戻る
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○四章 「夢か」 帰宅した俺はつぶやいた。 ついそう表現しちまったが、もっと違う概念にも思える。 肝心の内容をさっぱり覚えてないもんだからその形を決めようもないんだが。 ハルヒは家に戻っただろうか。というか、そもそもどこにいたのかすら分からないのに戻るも何もない。あいつさえいればもう少しこの状態も改善するかもしれないのに。 「ハルヒ……」 今や寝る前に今日あったことについて考えを整理するのが非日常時の日課になっている。思わず名前を呟いていたが、あいつが戻ってきたら俺は何と言ってやればいいんだろうか。 「心配するな」 さんざん言ってきた言葉だ。魚屋のタイムサービス状態である。安っぽい語句をいくら並べたところで、誰の耳にも空々しく響くことなど分かりきっている。 「俺を信じろ」 どこの三流俳優だ。それに俺に何ができる。古泉が超能力を失くし、長門や朝比奈さんまで異常を訴えだしている今、俺などミジンコ以下の存在だ。 それに、ハルヒが今何かを必要としているのかどうかすら不明だ。むしろ拒んでいるから姿も見せず団員の属性を消したりしてるんじゃないのか。それならなおのこと誰かが何かしてやるという発想ではダメだ。でもまるっきりどこに行っちまったかも分からない奴を元に戻すなんて、どうすりゃいいんだよ。 「心配させやがって……」 ちぐはぐな嘘に混じって、本音がこぼれ落ちた。 さて翌日は休日で、早起きした俺はすでに着替えて出かける準備をし、靴紐を結んでいた。 「キョンくん、またハルにゃんたちとどっか行くんだー」 妹である。毎度毎度、いくら気をつけていても防ぎきれない雨漏りやスキマ風のごとく出立前の俺の元に現れるのはもはや通過儀礼と言ってもいい。 「言っとくが、今日は連れて行けんぞ」 「ふーんだ。いいもんねー」 妹は両手を頭の後ろで組むと、そのまま回れ右をして歩き去った。聞きわけがいいな。 「あたしだっていつまでもキョンくんばっかりに構ってあげないんだから」 と捨て台詞を吐くとドアを閉めて見えなくなった。妹よ。何だその急な兄離れ発言は。 いや、確かに小六なんだし、そろそろ「キョンくん」呼ばわりと共に大人へと続く階段への廊下を一歩踏み出すくらいはしてもいいのかもしれん。 だがどこか心許ない気になるのはなぜだ。俺ってそんなにも妹依存度が高かったのか? などと三分ほど考えこんでしまったので首を振って即座にとは行かないまでもそこそこの威勢で玄関から晴天の下へと繰り出した。実に清々しい晩春の朝である。 いつもの集合地点にはすでに俺以外のメンバーがそろい踏みで、しかし俺がしているのが重役出勤でもなければ純然たる遅刻でもないことはすでにして一年前から明らかであり、笑顔と怒りを同居させた団長が突きつける人差し指同様に見慣れた、そしてなにより心中安堵する光景なのである。 「遅い遅い遅いおそい! どんだけ待たせれば気が済むのよあんたは!」 「どんだけ待ったんだよ」 「五分よ五分! あたしが五分なんだから古泉くんほかの熱意ある団員達はもっとよ。反省文提出ね」 テンション上がるのも分かるがそんな学内の風紀を乱した生徒を取り締まるお局教師みたいな罰則を課すのはやめてくれ。 「だって今日は奢りようもないでしょ。市内探索じゃないんだし」 あとでジュースでも人数分買うから許せ。 「まあまあ、いいではないですか。痴話ゲンカの続きは車中でどうぞ」 やんわりと仲裁に入ったのは古泉だった。 「あっはっはっはっは! ほんとにキミたちは仲がいいにょろ。見てて飽きないよーっ!」 早速純度100%の笑みを浮かべて仁王立ちするのは名誉顧問の鶴屋さんである。 「鶴屋さん、余計なことは言わなくていいの! さ、みんな行きましょ!」 いい感じにテンポをずらされたハルヒ先導の元で俺たちは一路バス乗り場を目指す。 「長門、何分待った?」 「八分四秒」 双肩をキリマンジャロのように尖らせてずんずん行進するハルヒの背を眺めながら俺は傍らを歩く私服の読書少女に訊いた。長門はここしばらく制服で市内探索その他の休日行事に参加することが少なくなってきた。何か心境の変化があったのだろうか。俺はもちろん、そうやって長門が変わっていくことを好意的に受け止めている。 さて、雑談もそこそこにやってきたのは数ヶ月ぶりの鶴屋家所有地たる小山である。 桜舞う季節に花見することをハルヒはすっかり忘れていて、さらにその後のドタバタも含めて期間が空き、何だかんだで空気に湿気が混じりはじめるこの季節になるまで後回しにされてしまった。 もはや花見でも何でもなく、今回は予定調和の穴掘りもないことから単純にピクニックなのだが、だからこそ俺は単純に浮かれていて、それは一年中が春そのものであるかのようにたおやかな笑みを浮かべてバスケットを両手持ちして登山する朝比奈さんも同様であるらしかった。 「今日は晴れてよかったですね」 俺はそのまんま大きく肯いて、真冬の殺風景とはうって変わって鮮やかな緑色と咲き乱れる花々で彩られた山の景色を見渡した。 山を登る面々の三分の二には決して一般的とは言えない特性があり、そんな人物達がひとところに集まっているおかげで普通の行事の多くが台本ぶち壊しのアドリブ進行になってしまったり、大宇宙の法則を軽やかに無視したシチュエーションコメディが起きてしまったりするのだが、今日くらいは何もなければいいと思う。というか何も起こさないでくれ。誰に頼んでるのかは分からんが。 気温は高いが湿度は高すぎず、時折海から平地を渡って抜けてくる風が心地よく、山頂で無意味にプチ野球して小腹をすかせ、朝比奈さんから受け取る糖分やや増量のレモンティーでありがたく喉を潤し、長門vsハルヒの変化球キャッチボール大会に趣向がシフトし、鶴屋さんと朝比奈さんがけらけら話し込んでいるところで古泉が話しかけてきた。俺は五感とその他全ての身体及び神経感覚が快く青信号を点している状態だったので、半ば喜んで相手になってやる。 「あなたが涼宮さんに全てを打ち明けたと聞いた時はどうなることかと思いましたが、こうしてふたたび同じところにやって来れると、それでよかったという感慨を抱くと同時に、あなたにあらためてお礼を言いたいですね」 古泉は片膝をついて遠くに広がる街並みを見ていた。写真を撮って「高校二年・初夏」とか題字をつけてアルバムにしまっときたいと俺がこいつの親なら思うかもしれん。 「他にどうしようもなかったからな。お前も朝比奈さんもいないんだぜ。長門はあんな状態だったし、未来がまるごとなくなっちまうよりは、全てを吐いちまったほうがいいと思ったのさ」 実際、ハルヒはあれから現実を変容させるような真似をしていない。むしろ今のこの毎日を、さらに積極的に楽しんでいるように見える。 「涼宮さんの力は依然保たれたままですし、相変わらず夜半や夜明け前に例のアレが発生することもあります。ですが、僕はこの現状にとても満足しています。彼女が事実を知った後の展開としては理想的と言っても過言ではありません。涼宮さんはこの日常をいたく気に入っています。それは彼女の精神状態ももちろんですが、ああしている姿を見れば一目瞭然でしょう」 古泉は視線をハルヒ長門間に転じ、俺も導かれる。 「行くわよ! ワールドスピリチュアルアラウンドシェイクボール!」 ハルヒの放った大仰な名前のブレ球ストレートを、しかし長門はあっさりとキャッチ。そのミット から煙が出ているように見えるのは気のせいだよな。 まぁ俺も同感さ。これ以上を望みようもない。あとはあの宇宙人未来人超能力者のライバル連中と片がつけば、それで大団円に向かえる気すらしてくる。 「彼らがまだ何かしら攻勢をしかけてくることは間違いないでしょう。実際『機関』からもいくつか そうした動きに関する情報が入っています。ですが本当に、彼らさえ穏やかになればあとは大丈夫だろうと僕も思いますよ。そうなれば、あとはあなたと涼宮さんの今後を見守るだけですから」 「なっ!」 笑みの種類を識別……愉悦。こら古泉。そういう冗談を唐突に交えるのはお兄さん心情的にもどうかと思うけどなぁ。え? 「冗談に聞こえましたか? おかしいですね。僕は世界の危機に関する話をする時と同レベルの扱いで言ったつもりなんですが」 まずい。こいつはすでに言葉のトラップを爆弾と共に巧妙に仕組んでいる。このままでは赤か青か選ぶ前に俺自身が自爆しかねない。 俺がだんまりとキャッチボールとはもはや呼称しかねる豪速投球合戦観戦を決め込むと分かったからか、古泉は両手を後ろについて、同じく静観の構えを見せた。 「本当に、大満足です」 そう独り言を言ったのが、風に乗って俺の耳まで届いた。 休日をここまで悶々と過ごしたのは、SOS団結成以来初のことだったかもしれない。何度かハルヒに電話をかけたが、やはりつながらなかった。土日のどっちかに骨董品店巡りするとか言ってた気がしたが、中止の電話も集合日時指定の電話もかかってこなかった。 朝食を食べながら、またしても俺は違和感のようなものを感じていて、山積み書類状態の問題と合わせて一足早く梅雨に突入したかのような脳内湿度とイライラ具合だった。気になるものが確かにそこに存在しているのに正体がつかめないことの不快感といったらない。夢を見た気がしないのに夢の残滓のようなものが五感の端々にこびりついている。いよいよもって俺の口癖が『やれやれ』から変わりつつある。 「何なんだ」 「どうしたの?」 呟きを聴かれていたらしい。ふと見ると学校に至る坂道の途中、朝倉涼子が心配そうにこちらを窺っていた。 「あぁいや! 何でもないんだ」 俺は慌てて両手を振った。これじゃ何でもなくないことがモロ分かりだが、朝倉が急に近くにいることには未だに慣れない。普通にしてる分にはなんとか平気になってきたんだがな。 「何か顔色悪いみたいだけど。大丈夫?」 既聴感のあるセンテンスでかつてのクラス委員は言った。分かってる。こいつは本気で心配してるってな。 二ヶ月前、ハルヒにノーマライズされて以降、朝倉は宇宙人属性を付帯していた時とわずかに性格も変わったようだった。率先してクラスを引っ張るリーダータイプではなく、華のあるクラスの……そうだな、朝比奈さんのポジションの才女バージョンといった感じだろうか。谷口なんかはフラれてから必死で意識から遠ざけようとしているみたいだが、たまに鼻の下伸ばして朝倉の席に目をやってる姿を見る。隠しきれてないっつの。 「あぁ、ちょっと寝不足なだけだ」 「そう。……無理しないでね」 やばい。不覚にもほろっと来そうになってしまった。なぜだ。そんな事言ってくれる人物がいなかったからか? それともただ単に疲れてるからだろうか。 朝倉と並んで坂道を登ってる間、俺は一時煩雑な現状に懊悩することから解放されていた。 教室に入って自分の席に向かう朝倉の背を見つつ、これまでの一切を忘れてある地点から高校生をやり直すことについて考えた。 長門の話だと、朝倉はそれまでの記憶と歴史を作られ与えられていること以外は普通の高校生とまったく変わらないらしい。それこそ、誰かが証拠と共にかつて宇宙人であったことを告げない限り、本人を初めとする周囲の人間みんなが気づかない。 俺は入学当初の自分を振り返る。 あの時の俺はどうだった? この世の物理法則と、万物を形作ってきた悠久なる歴史を信じて疑わず、でもそれらを覆すものの存在を切れ掛かった糸のような危うさでギリギリ信じていた俺。 ハルヒがいて、長門に朝比奈さんに古泉からそんな妄想みたいな話の一部が実在していると明かされ、俺は認識をそれこそ宇宙の創生期からあらため直さなければならなかった。 朝倉は、そんな不思議や謎を知る側から知らない側になった。 あの世界改変の時を別にすれば、俺の知る限りで非日常から日常に回帰したただ一人の存在だ。しかも、そうされたことを本人は知らない。 そして、古泉や朝比奈さん、長門も、記憶は残したままだが同じ道をたどろうとしている。 このままいけばどうなるか? SOS団は普通の高校生が集まるサークルと化し、しかしその団長だけが自覚なしに不思議な力を有し続け、関心を抱く他の連中がちょっかいを出し続ける。 デタラメな構図だ。もはや何が原因で何が目的か分からない。 知らなければよかったか? 俺も同じように記憶を消去されて、普通の高校生としてここから先の人生を凡庸に送る。所詮不思議なんてのは絵空事でしかなく、宇宙人も未来人も超能力者も存在しなかった。 そうじゃないはずだ。年末にエンターキーを押してから、俺はこっちのほうが断然面白いってことを知ってしまった。そして、そんな刺激に満ちた日常を取り戻すためならどんなハードルだって飛び越えてやると、あの春に思ったんだ。だんだん提示される問題のレベルが難化してきていて、実際今回も相当ピンチなんじゃないかと思う。 が、まだあきらめるには早すぎる。必ずあるはずだ。朝比奈さんも古泉も長門も元の使命を取り戻し、かつハルヒが元通りの100Wスマイルで俺たちに命令を下す状態に戻す方法が。 自分で自分を鼓舞するのもいい加減限度があるが、俺がへばっちまったら今のSOS団は空中分解しかねない。何せ団長は今日も来ていない。休みは先週一杯じゃなかったのかよ。 と思っていたら、昼休み。 「キョン。ちょっと話があるから来てちょうだい」 突如教室の後ろの入り口に現れたハルヒは、谷口国木田と弁当を囲んでいる俺を見るやいなや脇目も振らずにこちらへ歩み寄り、俺の胸倉をつかんで持ち上げると人を所有物扱いして引きずりだした。 ちょっと待てよ! 何の説明もなしにどこ行く気だ。 「どこがいい? あんたとサシで話ができればどこだっていいわ」 言葉面だけをさらえば含みがあるようにも取れるかもしれんが、マントル直下型火山のごとき語調にはそんな様子は微塵も感じ取れない。 「はい時間切れ。決定、部室」 廊下を行軍するハルヒの表情は反対を向いていて見て取れなかった。さっぱり分からない。急に登場して何をする気だ? バタンと部室のドアを閉め、俺をいつもと反対の長テーブルの椅子に座らせると、普段俺が使ってるスペースにハルヒが座って向かい合った。 「なぁどうしたんだよ急に。連絡もつかないし。全員心配してたんだぞ」 「そんなのあたしだって同じよ!」 ハルヒはしょっぱなからエンジンを五速に入れ、しかしエンストを起こすこともなくその勢いの全てを言葉に眼差しに込めて、真っすぐ俺にぶつけてきた。 「あたしね。もうこんな中途半端な状態は嫌なのよ!」 ハルヒは席を立って窓際に歩き出す。歩くなんて穏やかな表現では似つかわしくない。床に穴を開けそうな程、一歩ごとに力がこもっている。 「白黒はっきりさせる。もしあんたがシラを切るようなことがあれば――」 そこでハルヒは言葉を切った。何もない向かいの校舎の屋上付近を見上げている。 あまりに長く先を言わずにいるので、俺はようやく二言目を口にする。 「あれば、何だよ」 「SOS団を解散するわ」 俺とハルヒ以外に誰もいない文芸部部室。そこで、自分の立ち上げたSOS団を崩す可能性を、団長自ら示唆しやがった。 「ちょっと待て! どうしたんだよ突然」 「突然も何もないわよ。だって、今回もあんたはあたしを外に置こうとしてるじゃない」 「外に? 何のことだよ」 ハルヒの発言は滅裂を極めていて、俺には何のことだかさっぱり分からない。 ハルヒは俺に振り返って、怒らせたままの視線で睨みつける。口を固く結んでいる。 「キョン。あんたって何かまだ他に秘密があるんでしょ」 ハルヒの強烈な視線は、怒りという感情以外にもいくつもの成分を持ってるようで、俺はただひたすら混乱する。秘密。そりゃハルヒに言っていないことならまだまだ山ほどある。だがそれはまだ言うべき時に来ていないと思うからであって――、 「それがもううんざりだって言うのよ!」 ハルヒは机を叩いた。俺の想像もつかないほどこいつは怒っている。 「キョン。あたしはね。あんたとみくるちゃんと、あのよく分からない『違う場所』から帰ってきて、 その後ずっとあんたから話があるんじゃないかって思って待ってた。でも結局説明も何にもない。不思議が存在してるって漠然と告げられただけ」 待ってただって? 自分から訊かずにか? 「あたしが問い詰めたって、あんたが言いたくならなきゃ言わないだろうって思った。これまでずっとそうだったんだから。でももう限界。何が何でもあんたから本当の話を聞いてやるわ」 依然言っていることがとっちらかったままだ。まずい。これじゃ冗談抜きにまた世界が塗りかえられちまうかもしれん。しかしそんなことを考えてたのか……。 「あんたは鈍感すぎるのよ。それも分かってたけど。けど……」 こんな状況で本当のことを話していいのか。ハルヒの情緒は見るからに不安定だ。事実を告げた瞬間にあたりが灰色一色なんてことになればそれこそ取り返しがつかない。くそ……どうする。 俺の様子をどう捉えたのか、ハルヒはふたたび後ろを向いた。 「キョン。あんたは普通の人間じゃないんでしょ」 声色に込められた感情以前に、その言葉は俺から一時的に思考力を奪った。 「あたしが考えた結論はそれよ。そう考えれば全部納得できるもの。不思議なことが起きていたのは全部あんたの力によるもので、そんなことを教えるわけにはいかないからかどわかすようなことしか言えないんでしょ」 「ハルヒ、待て! 落ち着け」 「何よ。言いたいことがあるならはっきり言いなさいよ! これまでさんざん言ってきたじゃない。あんたの悪いクセよ……」 お前は逆にはっきり言いすぎなんだがな。 「なぁ。本当に俺はお前をのけ者にしてるわけじゃないんだ。信じてくれ。ただ、今はま 「またそれ! やっぱりそうなのね」 「違う! 頼むから落ち着いて話を聞いてくれ」 「何も話さない奴にそんなこと言われたくないわよっ!」 ハルヒは俺に三歩で歩み寄って、また胸倉をつかんで引き寄せた。大きな瞳がこの上なく近くに見える。 「……バカっ」 突き放されると同時、目視する間もなく左頬にぴしゃりと痛烈な感触が走った。 「……」 絶句した俺は床に崩れ落ちる。目の前にいたはずの女は、既に入口から外へ消えようと――、 「ハルヒ!」 俺の声は誰もいない部室に虚しく響き渡った。 開け放たれたドアが、跳ね返ってわずかに動いていた。 その日の午後、放課後を待たずにいくつもの動きがあった。 「小規模閉鎖空間が相当数同時発生しています。『機関』に新たな能力者も現れているようですが、とても対処しきれる数ではありません」 廊下で話をする古泉に笑みはなかった。 「何があったんですか?」 俺は呆然と窓の外を見つめ、まだ痛む左頬を押さえていた。 「ああ」 「大丈夫ですか?」 「ああ」 「しっかりしてください。あなたがちゃんとしないと、涼宮さんが――」 ハルヒが何だというのだろう。あいつは俺の元を離れてどっかに行っちまったぜ。俺が「ちゃんとしない」ばかりにな。 「僕の力は相変わらず戻っていませんし、彼女の精神を感知することもできませんが、報告のあった発生件数は彼女がもっとも荒れていた時期のものに匹敵します。一体何があったのか、ちゃんと話して下さい」 ちゃんとか。なぁ古泉。何をどうすれば俺は『ちゃんと』話ができるんだ? 俺じゃ役者不足か?力量が足りないか? ……教えてくれよ。 「あぁ、もう!」 急に両肩をがっしとつかまれた。 驚くほどしっかりと固定され、目の前には古泉の真摯な眼差しがある。 「あなた以外に誰が涼宮さんを救うんですか! ふぬけてないで前を見て下さい!」 ドラマのワンシーンばりの熱意である。 そうか、お前の意気込みは伝わったよ。だからこれからはお前が陣頭指揮を取ってくれ。 益体なしの雑兵はここで退陣す―― 不意に肩の感触が解かれた。 続いて別の手が俺の肘のあたりをつかむ。さっきよりずっと力は弱い。 「……!」 誰だ? ちょっと待て。俺は今抱きつかれてるのか!? どうして? ここはどこでこいつは誰だ。 俺はゆっくりと瞬きをした。 正面には誰もいない。んなバカな。まだ腰の辺りに手が回されて…… 「……長門?」 視線を下げると、見慣れた髪の頭頂部が俺の胸に押し付けられていた。何をしてるんだこいつは。 というか、俺はなぜこんなところにいるんだ。ここは廊下? 長門はしばらくそのままだった。 どのくらいか計りかねる時間が経ち、ゆっくり離れると朧な目で俺を見上げて、 「しっかり」 とだけ言った。邪念の全くない澄み切った瞳に、不覚にも涙腺が緩みそうになる。 「……ごめんな」 俺は奥歯を食いしばってこみ上げて来そうになるものをこらえた。 さんざん分かってるけど、やっぱりだらしがねぇな。俺は。 長門はゆっくりと後ずさる。 心なしか、そのほのかな温もりが惜しく思える。 「古泉、すまない」 傍らで腕組みをしていた友に俺は言った。 「取り乱した。……何があったか話す」 古泉は黙ったまま肯いて俺と目線を交わし、 「部室に行きましょう。早退の届けは出してあります」 その時だけ穏やかに笑い、ウインクを飛ばした。この場限りは気色悪いとも思わない。 ここ数日、団長不在の部室。 さっき開け放たれたドアは、誰も閉めなかったのだろう。そのまま寂しく開いていた。 「お茶を淹れる」 長門がコンロに向かう。その姿を見つつ、 「朝比奈さんは?」 「今日は欠席なさっているようです」 古泉の言葉がちくりと胸に刺さる。まさか一人きりなんじゃないよな。 「どうでしょうね……」 古泉は珍しく言いよどんだ。いつもなら適当に茶を濁す言葉を付け加えるところなのに。 俺は昼休みにここであったことを洗いざらい二人に話した。 ハルヒは気持ちの整理もつかないまま俺にぶつかってきて、しかし俺はそんな状態のハルヒにすべてを打ち明けてやることができなかった。ハルヒは俺に平手打ちをかまし、呆然とするままの相手をよそにまたどこかへ行ってしまった。 「そうだったんですか。……そんなことが」 「古泉、すまん」 俺は古泉にお辞儀して謝った。 「今閉鎖空間が発生してるんなら、それはひとえに俺の不甲斐なさのせいだ」 長テーブルを目前にしていると、後頭部から声がかかる。 「顔を上げてください。僕はそんな言葉を求めてはいませんから」 古泉を見ると、また柔和な笑みが戻っていた。 「不謹慎ですが、僕個人としてはこの場にいられることが嬉しいですよ。前回はあなたの相談役しかできずに、気づけばすべてが終わっていましたからね。当然、みなさんと共有すべき記憶もありません」 こと、とテーブルに音。見ると長門が人数分のお茶を置いて席に座るところだった。今日は俺の向かいではなく隣に腰を下ろす。 普段はどちらかと言うとりりしい長門の目は、今この時に至って柔らかくなっているように見えた。 言葉こそ発さないが、こいつも内側では事の行く末が心配なのかもしれん。 「突然ってのもあったが、やっぱり俺にはすべてを話してやることはできなかった」 外ではいつの間にか、梅雨の予告のような小雨がぱらつき出してていた。晴れ間は見えない。 「僕も、現在の涼宮さんに秘密を明かすことが賢明とは思えません」 授業中の校舎は、雨が降り出したこともあって驚くほど静まっていた。俺や古泉の言葉は、ひとつひとつが木版画のようにそこだけ浮き上がって聞こえた。 「でも、これでハルヒはいつ現れるかわかんなくなっちまったし、何より閉鎖空間が……」 「そちらは僕らの仕事です。と言っても、僕自身は今援護に出向けませんが。代わりに、SOS団としてどうすべきかを考えましょう」 古泉はそう言って腕組みをした。俺も同様に知恵を絞ろうとするが、原因がハルヒそのものなのにどうやって元に戻せっていうんだ? 今のあいつは、ある意味入学当初より厄介な状態にある。 まして俺は、まっすぐぶつかって来たあいつに答えてやることができなかった……。 「情報の奔流がふたたび観測されている」 空気が凝固するのを防ぐように言ったのは長門だった。俺と古泉は湯飲みを持つ女子団員の方を向いた。 「涼宮ハルヒの力は発現当初の強さにまで戻ろうとしている」 ふり出しに戻ろうとしてるってのか。 長門はこくんと肯く。……そんなことってあるか。本当に少しずつ落ち着いてきて、このまま行けばあいつも自分とそれを取巻く世界を認めようとしてたはずなのに。なのにどうしてこんなことになる。 「情報統合思念体は変化が生じたことを喜んでいる」 そうだったな。お前の親玉はハルヒが自分の力に気づくことには反対しつつも、変化は望むっていう特殊なスタンスだもんな。 「でも」 長門は付け加えるように言葉を切る。 「わたし個人はいいことだとは思えない」 ことんと湯飲みを置く。その陶器のような横顔は、今はどこまでも落ちついている。今のは長門自身の意見に他ならない。俺は、長門も積極的に話し合いに参加してくれていることを嬉しく思う。 俺は古泉に向き直り、 「なぁ古泉、やっぱりお前の機関のライバル連中が部長氏の一件を仕組んだんじゃないのか?」 それかあのサインが関わっているかだが、長門の話ではサインそのものに効力はないらしい。 古泉は組んでいた腕を解いて机に乗せ、 「確かに。涼宮さんの反応を見るために刺激を与えるということは十分に考えられます。学内に潜入していることも間違いないようですからね」 「奴らをここから追い出すことはできないのか」 古泉は一度背もたれに身を預けて顎を引き、 「あなたもご存知の通り、僕、長門さん、朝比奈さんの属する勢力に敵対する者たちは、今の僕らと同様に事実上の共闘体制にあります。ですから、情報改竄も時空移動も可能なわけです。そのうえ、攻勢でいる彼らは狡猾に手段を選びます。となると、彼らすべてを見つけ出して退けるということは難しいのではないでしょうか」 こっちの分身が相手みたいなものか。確かに向こうは汚い手口を使ってくるし、ハルヒのいるこっちは半ば防戦一方だ。ハルヒは、あいつは力をここに来て増してしまい、しかもかつてないくらいに不安定な精神状態。情報奔流と閉鎖空間の再発生。長門の言うとおり、このままじゃこの世界の未来は長くないどころか賞味期限間近かもしれん。 「僕から一つ提案があるのですが」 古泉が言った。何だ? 思いつくことならとりあえず片っ端から言ってみてくれ。 「あなたが本当の気持ちを涼宮さんに話してみるというのはどうですか」 「……はい?」 一瞬カメのように首を前に出す俺だった。どういう意味だ? 「おや、お気づきではありませんか。先に言っておきますと冗談ではありませんよ」 いや、さっぱり分からん。さっきも言ったように、ハルヒにお前たちの隠し属性すべてを明かすのは危険だぜ。 そう言うと古泉は煩わしそうに首を振って、 「ですからそうではありません。あなたの涼宮さんへの感情を正直にぶつけるのです」 「心配させやがって」 俺は即答した。古泉は半ば半目となって、 「……ぶしつけですね。以前に比べると進歩したと言えなくもありませんが」 意味が分からない。俺の知らない国の言葉でしゃべってるんなら長門に通訳頼むが。 「……もういいです。僕が間違っていました。他の方向で話を進めましょう」 横を向くと長門が横目を俺に向けていた。今、何か言いたそうにしなかったか? お前。 「そうだ。あなたが週末に言っていた『夢』というのはどうです。その後何か進展がありましたか?」 古泉は指をぱちんと鳴らして効果音をつけた。すっかり忘れていた。確かにそんなことを言ったな。 「この土日の間にも何か妙な感じはしたんだが、それがその『夢』に当たるのかも、そもそも夢と言っていいもんなのかも分からん」 「それでは、確かにまた似たような症状に陥ったのですね?」 症状と言われると病気みたいだな。だがまぁそうだ。相変わらず内容がさっぱり思い出せんが。 「もう一つ質問です。最近見始めたそれとは別に、あなたは普段夢を見る時、翌日どの程度内容を覚えていますか?」 そう言われてもな。種類によるし気分にもよるが、ぼんやりと思い出せるくらいには。 「なるほど」 何か分かったのか。 古泉はまた腕を組んで思案しつつ、 「直接関係があるかは分かりませんが、少なからず一連の流れに関わっているのではないかと思います。 ……コンピュータ研のパソコンに現れたサインが見えたことだけは分かっているんですよね?」 ああ。それだってもうどんな状況の『夢』だったか分からんがな。 「とはいえタイミングがあまりに作為的です。何かしらの原因があるはずですよ、それにもね」 ひょっとして俺も予知夢か何かの超能力に目覚めようとしているのか。 古泉はにこりと首を傾げ、 「さてね。もしそうでしたら、『機関』からお迎えがあるかもしれませんが」 それはやんわりと辞退したいところだな。たまに関わるならまだしも、内部の人間として任務遂行するってのはいくら俺が海外長編ドラマに憧れることがあっても遠慮したい。 「残念ですね。あなたと共に涼宮さんにまつわる任務を行うのもなかなか面白そうだと思ったのですが」 カタン。 「ん?」 俺は音のした方を見た。 すると、長門が空になった湯飲みをテーブルの上に落としたところだった。 「どうした長門」 「生徒会室」 「え?」 「行って」 わけも分からずただ呆然とする俺に長門は視線を向けて、 「生徒会室に行って」 とだけ言った。妙に鋭く耳に響く。 「俺がか?」 俺は自分を指差した。 「そう」 長門は肯く。 「今から?」 「そう」 何でまた。 「行けば分かる」 訊きたいことはまだあったが、長門の目が俺を追い立てているように見えたので、やむなく俺は会談を中座し、同じく理由を考えている様子の古泉を一瞥しつつ部室を出る。 「さて。何でまた生徒会室に?」 頭上に浮かんだハテナマークは、長門の言う通り室内に入ってすぐに判明することとなる。 コンコン。 職員室なら何度か来たが、生徒会室は一年の時以来ごぶさただ。あの眼鏡の仮面生徒会長は元気にしてるだろうか。 「ん」 ノックを続けるが返答はない。携帯の時計を見ると、まだギリギリ授業時間だった。 「誰もいないのか?」 静まり返った廊下に一人突っ立っていた俺は、使い古されたドアのノブをひねった。 キィィ。 微かな高い音を立ててドアが開く。 南向きの窓にはカーテンがかかっていて光は抑えられていたものの、温度は高かった。 整然と並んだテーブルとパイプ椅子を見渡し、誰もいないのかと思って振り返りかけた時、 「…………く……」 何かが聞こえた。人の声か、機械音声のような高い音。振り返る。 「キョ…………ん」 俺は目を見開いて、同時に目を凝らした。瞬きを繰り返して確認する。 「朝比奈さん!?」 朝比奈さんだった。大人の。実に二ヶ月ぶりであるが、そんな久々の再開を喜んでいられるような余裕がないらしいことはすぐに理解できた。 「キョン……ん」 そう言う彼女の身体は、半透明に透けていた。 いや、それじゃ不正確だな。朝比奈さん(大)のグラマラスな夏服姿は、普通と変わらぬ実体を持っているかと思えば、また色が薄くなっていき、ほとんど見えなくなりそうになる。 最初、俺は自分の目のほうを疑った。カーテンから漏れる光で輪郭が捉えづらくなっているのではないかと思った。 しかしそうではない。いくら目を凝らしても、朝比奈さん(大)は不定期に明滅を繰り返している。点滅信号。いや、違う。もっと端的でイメージしやすい例えを持ち出すなら、 「幽霊?」 「……え」 朝比奈さんの姿が首を横に振った。俺の声が聞こえるんですか? その問いに朝比奈さんは二度肯く。まるで、声じゃ伝えにくいから身振りを使っているようである。 「どうしたんですか、何で透けてるんです?」 歩み寄る俺に朝比奈さんは口を動かす。 「……来が……かかってい……」 「えっ?」 俺は教師姿の朝比奈さんとあと一歩のところまで近寄る。 「もっと……寄っ……」 さっきより声が聞こえる。どうも相当小さな音量らしい。 何の物音もしない部屋なのに、一体こりゃどういうことだ。 「し、失礼します」 俺は慇懃にお辞儀をして、半透明の朝比奈さんに触れるかどうかのところまで近付いた。 「重なっ……」 朝比奈さんは手を差し出して、俺の胸に触れた。 「!」 朝比奈さんの手は、俺の身体を突き抜けた。 しかし、何も感触がないわけではなかった。 ぬるま湯につかるような、しかし感触はそれよりもう少し固体っぽいというか、溶けかかったゼリーみたいな感じだ。 「こりゃ一体……」 俺が唖然とする間に、朝比奈さん(大)は歩みを進めて俺に重なった。 「あの、ちょっとまだ心の準備が! そのっ!」 仰天する俺に、しかし朝比奈さんはばっちりとその身を合わせた。 不思議なことに、俺の体内にはぬるい感じはせず、外側、つまり皮膚にだけ感触があるようだった。 顔を少し前に出すことで息ができる。 「聞こえる?」 おお。何ということであろうか。朝比奈さんの色っぽい声がダイレクトに耳に伝わってくる、骨伝導じゃなければこりゃ何だろうな。皮膚伝導か? 「聞こえますよ、バッチリです!」 半ばはしゃぎ気味に俺は言った。蒸し暑さと無関係の等身大ぬるま湯コンニャクは、さしずめ立ったまま温度の低い温泉に入っているような気分になる。 「よかった……。でも、この状態もあまり長くは持たないと思うわ」 朝比奈さんの口調は終始シリアスだった。こんなに緊張感の色が濃く出ていることなどあっただろうか。あぁ、二回目の四年前の七夕で長門の家に一緒に行った時、こんな雰囲気だったかもしれない。 「一体どうしたんですか? 何がどうなってるんです?」 いい加減質問ばかりで申し訳ない気持ちになるが、クサクサするのはもう終わりでいい。 「未来が消えかかっています」 あまりにクリアに聞こえるものだからそのまま俺は首をうっかり後ろに引いてしまい、息が詰まって危うくむせかけた。 「未来が消えかかってる?」 詰まった喉を何とか整えて、俺はまた顔を前に突き出した。深呼吸、と。 「えぇ。だからこんなはっきりしない形でしか来ることができませんでした」 いつかの古泉もそんなことを言ってたな。あの時とはまるで状態が違うが、何かしらの危機に瀕してることだけは間違いなさそうだ。 「そういや、『分岐点』とやらはどうなったんですか? いつかまた話してくれるってことでしたが」 俺は思いついた疑問を片端から言ってみた。朝比奈さんの表情を見ることはできなかったが、 「ここはもう、わたしの知っているこの時代とは違います」 重要事項を緊迫した声のまま言った。迷うような様子は見られない。告げることを既に決めていたようにも感じる。 俺ははっとして切り返した。 「知ってる時代と……違う?」 「はい」 一瞬俺の頭が湯から出て、朝比奈さんの頭が動くのが分かった。たぶん肯いたんだろう。 「おそらく、分岐時期だったあの時に彼らが『介入』を成功させたんだと思います」 「介入、ですか?」 「キョンくん。前にわたしが話したこと、覚えてる?」 朝比奈さんは余裕を見せる様子もなく続ける。俺は肯きかけて、その瞬間普段は絶対に見ることができないような角度から彼女の胸元を覗いてしまい、すぐさま目を九十度上方へ向ける。 「えっと。前に話したこと、って言いますと?」 「過去は未来からの干渉を常に受け続けている――」 「あ、はい。覚えてますよ」 俺は極力視線を動かさないようにして、彼女の発言だけに集中するよう心がける。こりゃ五感その他のあらゆる神経系に多大な影響を及ぼしかねない。心なしかぬるま湯がほどよい湯加減になっちまった気がするが、それは朝比奈さんでなく俺の心拍数が上昇したせいだろう。 「大抵は同じ未来につながるようになっている。ここまでは話したはずです」 「はい」 視線が重なっているため、返事は極力声を使う必要がある。というかこりゃマジに通常の思考を保つのが難しい。 俺の精神状態をよそに朝比奈さんは話を続ける。 「あの『分岐点』は、それが大きく逸れて別の未来に向かってしまうかもしれない時期だったんです」 俺は朝比奈さんの話を聞きながら、この二ヶ月近く自分でまとめた考えを思い返していた。 「キョンくん、もう一つ思い出してほしいの。わたしがあなたに正体を明かしたとき、不完全だけど時間平面の概念について説明しようとしたでしょう?」 「あっ、はい」 一年以上前だ。あの川原のベンチで、ただの可愛らしい萌えキャラ上級生だと思っていた朝比奈さんは自分が未来人であることを明かし、パラパラマンガの比喩を使って俺に時間の流れについて説明しようとした。朝比奈さんが着ていた服から、指を立てて「禁則事項です」と慣れないウィンクする彼女までが昨日のことのように思い出せる。 「時間と時間の間には繋がりがない。あの時のわたしはそう言ったはずだわ」 朝比奈さんは腕を動かした。組み替えたのだろうか。身体に温かい波が走り抜ける。 そうだ。あの時の俺にはさっぱり分からなかった説明。時間と時間の間に繋がりがないのなら、俺がこれまでしてきたことには何の意味があったのか。 「正確には『繋がりをなくしても影響がない』という意味なんです」 朝比奈さんは静かに言った。 「考えてみて。ある時間平面、仮にAとします。そのAから延びた未来、仮にBとしますね。BからAに時間遡行して、Bが発生しないように過去――Aで起きたことをを変えてしまったら、どうなると思う?」 俺は実例に置き換えて考えてみることにした。 仮の話だが、今年の初めに救ったハカセくん。彼のおかげでタイムトラベルが可能になったとして、未来人がこの時代に来て彼が大人にならないように過去を変えたとする。 そうするとどうなるか? タイムマシンが生まれる未来は存在しなくなり、当然未来人もハカセくんを殺しに来なくなる。しかしそれだとタイムマシンは生まれてしまい……ダメだ、わからない。 「それでも未来Bから来ている人間は現在Aに存在することができる」 朝比奈さんは言う。 「ただし、変わってしまった瞬間にその場にいなければなりません。だから、過去のわたしはキョンくんの傍にいるけれど、今のわたしはこんな形でしか存在できない」 分かるような、分からないような。 「時間は、常に上書きされ続ける可能性があるんです」 朝比奈さんは続ける。俺は自分の考えていた仮説を脳内書庫から引っ張り出して答え合わせの準備をする。 「この時間から見て去年。夏休みの終わりに、涼宮さんの力で時間が切り取られたことがあったでしょう?」 俺は肯定の返事をする。 「あの時が分かりやすいわ。同じ時間を繰り返して、けれど繰り返すことで起こることはわずかに違っていたでしょう?」 俺は長門の話でしか知らないが、確かにそうらしい。 あの宿題片付けをしたのは俺の記憶にある最後の一回だけだったみたいだからな。 「二週間限定で、STC……いいえ、時間の上書きが繰り返されていたんです」 クリアに響き続ける朝比奈さんの声を受けて、俺は尋ねる。 「上書きすると、どういうことが起こるんですか?」 「そこから先の時間が変化します。あの時は上書きしないと未来そのものが存在しなかったけれど、通常は未来自体が変化します。そこから先の時間全てが上書きされるんです」 その言葉に、俺は風呂に浸かったような状態にもかかわらず鳥肌が立つのを感じた。 自分の考えていたことがおおむね正解だったらしいことよりも、まるっきり別の時間が出来上がってしまうってところに恐怖があった。 朝比奈さんは話を続ける。 「けれど、普通は誤差の範囲で済みます。川に小石を投げても、川の流れが止まったりはしないでしょう?」 確かにそうだな。丸ごと流れを変えるにはそれこそ超自然的な力がいるだろう。 「未来から起こすことのできる『干渉』は、そのくらいのことしかできないんです。わたしたちが直接過去に手出しできないことも、あなたは知っていますね」 だから二月の八日間、俺は意味不明にも思えるお使いRPGを行い、しかし朝比奈さんが直接何かをすることはなかった。何らかのタブーがそこにあると思われる。そういえばあの時の金属棒はまだ鶴屋さんちの倉にあるんだよな。 「でも、あの分岐点で行われた『介入』だけは違うんです。すでに、わたしの知っている未来は上書きされつつあります」 朝比奈さんの声色に変化は見られなかったが、それってとんでもないことじゃないのか。それじゃ上書きされた方の時間はどうなるんだ。 「それ……」 ここで急にふっと音声が切れた。ノイズが入る感じではなく、ふっと無音になる。 「朝比奈さん?」 身体全体に感じるお湯のような感覚が薄くなる。 「最後にひとつ……け」 朝比奈さんの声が空気にジャミングされたかのように聞こえなくなる。 「……る……」 「朝比奈さん!!」 俺が動くと同時。固体めいた感覚は、湿気た風に変わった。
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アーティスト:ゆず レベル:6 登場回数:3(レギュラー版第3回、第21回、第30回) 挑戦結果 トモ:成功(レギュラー版第21回)
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カード名 綾錦 マオ&マイ 二つ名 半人前の二律背反 クラスタ 【赤】 HP 3 HP価値 50 アビリティ1 《Cast》 ↷魂の波長【ホデリ ホヲリ】 コスト ↷① 自軍の手札またはスピードカードに「ホデリ ホヲリ」のユニットカード1枚を、ユニットカードのログコストを支払わずにキャストする。 TYPE 男 女八幡学園都市 収録 Chapter4 パラダイス・ロスト レアリティ CA フレーバー 「今度のお兄ちゃんは」「いつまでもつのかな?」 相棒ユニットの決戦型超々ド級大神 ホデリ&ホヲリを実質②コストでキャストできる、『↷魂の波長』を持つキャスター。 キャスターとしては初の1枚で2人組(男の娘 女の子)である。
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毎日は楽しいけれど、一つ不満があるんだったら…。 そうだなぁ…。 あのヒトの笑顔を、自分だけのものにしたい。 それってさ、わがままなことなのかなぁ? テーブルに頬杖なんかついて考えてみる。 「レナ?」 「ん? なん? さゆ」 「うん。どーしたの? ぼーっとしちゃって」 「ぼーっとなんてしてないって」 「してたよー。あっ!」 さゆがポンと手を叩いた。 「あんまり私がかわいいからって、見とれてたんでしょ」 「いや。違うから」 みきねぇ張りの早いつっこみ。 でも、さゆのこういう感じ、さゆが目指すというか同じきしょい系のあのヒトと雰囲気近いかも。あのヒトもけっこう普段はほわほわーっとしてるし。 それにほら、レナもわりと突っ込みタイプ…だと思うんだけどなぁ。 「梨華ちゃん。それじゃ話わかんないって」 「だからね…ふふふっ」 「ほらほらぁ! 笑っちゃってわかんないってば」 みきねぇが笑顔満開であのヒトをいじってる。いじられてるイシカワさんは自分の話に受けちゃって、パシパシみきねぇの腕なんか叩いちゃってるし。 さゆはもう鏡の世界で自分と会話しちゃってる。 まっ、いっか。 レナも、いつかあーやって話したりできるかな? “梨華ちゃん”なんて言えちゃったりするのかな? 「こら。何ボーっとこっち見てんだよ」 「はっ?」 頭の上から声がして、顔を上げたらみきねぇがにやにや笑ってた。 むっ…! 「ぼーっとなんて見てないですぅ」 「うっそだぁ。なーんか笑ってこっち見てたじゃん」 「でも、かわいかったよ」 ふふって、笑って、イシカワさんが隣に座った。 「それに今のミキちゃんの言い方、なんかこわーい」 って、肩を引き寄せられて抱きしめられた! わっ…! どうしよ! えっらい緊張するったい! うっ…うれしいけどっ…! 「あれあれ? 何赤くなってんの?」 みきねぇが顔を覗き込む。 同期だけどセンパイだってわかってるけど、にらんでみました。負けませんよ! 「美貴ちゃん!」 「はいはい」 イシカワさんの一言で、くすくすって笑ったみきねぇがぐしゃぐしゃとレナの頭を撫で回す。 「しょーがないなぁ。貸しといてあげる」 そう言って、おなかすいたーっていいながら、ヨシザワさんを捕まえて引きずるように楽屋を出て行く。 「もう。美貴ちゃんってば」 イシカワさんの呆れたつぶやき。 けど、二人のやりとり、すっごいうらやましい。 だってさ、レナとじゃ、そーゆー会話、できるかな? だってセンパイで、だって年上で…。 「リカちゃん、田中ちゃん、食べる?」 つじさんがなにやら大きいタッパを持ってきた。後ろにはオガワさん。 「のの、これは?」 そしたらオガワさんがへへって笑った。 「あのぉ、これ、うちのおかーさんが作ったんです。みんなで食べなさいって」 前はたしかバンバンジーだったっけ。今度のはコロッケだ。 「おかーさんお手製のかぼちゃコロッケ」 「へぇー。マコトのお母さん、料理上手だねぇ」 そう言って、タッパに手を伸ばすイシカワさん。 「じゃあ、一個もらうね」 「はいぃ。どーぞ、めしあがれ」 「じゃあ、オガワさん、いただきます」 一個タッパから取り上げる。 ソースはついてないけど、かぼちゃが甘すぎなくってちょうどいい。 「すっごいオイシイ!」 そしたら、オガワさんがすっごくうれしそうに笑った。 「うん。おいしいよ。ね」 イシカワさんがこっちを向いて、にっこり。 この笑顔、レナのもんだよね? 「あたしののが持ってきたから、ののが作ったのかと思ったよ」 ってイシカワさんが言ったら、 「じゃあ、今度お母さんに教えてもらって、作ってくるね!」 「うん。期待してるぞっ!」 よーし! がんばるぞーっ! って、つじさんが他みんなのところにタッパを持って走っていく。 やわらかい笑い声がして、 「あーあー。おっことさなきゃいいけどね」 って、食べ終えたイシカワさんの目がつじさんを追いかけていく。 なんかホントに妹を見るような目なんだよね。 普段はけっこういじられちゃったりしてるのに、いざとなるとすっごく頼りになって…。 妹っていうのもいいなぁ。 でも、妹なんだよね。 恋人にはなれないんだよね。 それに、つじさんは同期だけど…年下で…。 同期って…。 センパイと後輩ってこんなに違うのかなぁ。 同期で入ってたら、梨華ちゃんって言えたかな? 「どうした?」 はっと気がついたらイシカワさんの顔が目の前にあった。 「えっ! あっ、なんでもないですよぉ」 「ふーん。なんかぼーっとしてるから、どーしたのかなぁって思ったんだけどね」 「はぁ…」 だって、あなたが…。 「ん? レナ?」 「…!?」 今……。 ちょっと心配そうに見つめるイシカワさんの優しい微笑み。 「あっ…大丈夫ですよ。イシカワさん、かわいいから見とれてました」 いくじなし。 自分で自分に腹が立つたい。 「うふふっ。ありがと」 あなたがいるからがんばっちゃて、張り切っちゃてみようって思ったけど…。 丸ごと愛して…なんて言えないよ。 「へへへっ」 だけど、せめて…。 「だいすきですから」 これくらい、言ってもいいよね? ふわりと笑った、この笑顔は自分だけのもの。 みきねぇとヨシザワさんが戻ってきて、二人だけの時間は終わっちゃった。 「じゃ、返してもらうね」 ぎゅって後ろからイシカワさんに抱きつくみきねぇ。 「何、それ?」 「いいの」 そう言って肩に顔をうずめるみきねぇが、なんか悔しいけどかわいかった。 抱きつくみきねぇの腕をそっと包んでるイシカワさんの手 。 見詰め合うまなざしのあたたかさと楽しそうな笑顔。 「美貴がいない間にレイナにいじめられなかった?」 「そげんことしないったいっ!」 できるもんならしてみたいっとよ。でも…っ。 「なぁにムキになってんの」 にやにやレナを見るみきねぇ。 「もう。美貴ちゃんってば。あんまりいじめちゃダメだよ。田中ちゃん、優しかったよ。かわいいって言ってくれたし」 「それだったら、美貴がいつもいっぱい言ってあげてるじゃん。あまーいキスまでつけてね」 えっ!? うそっ! けど、みきねぇはイミシンに笑うだけ。 「なによぉ。いつもはいじめるくせに。だいたい、美貴ちゃんじゃないんだから…」 「あっ、ひどい梨華ちゃん。いつ美貴がいじめたのさ」 「えー。だから、いつもじゃん」 なんか二人の空気がイシカワさんのだいすきなピンク色に染まってる? 「だってさ、かわいいんだもん。すねる梨華ちゃん」 「…もぅ」 すぐ隣にいるのに、なんだろう。 手が届かないくらい遠くに感じるのは。 …いじわるだよ。みきねぇ。 「ムキになってるの…みきねぇなんじゃないの?」 そしたら、みきねぇがきょとんとした顔をした。 イシカワさんがちょこんと首をかしげてみきねぇを見つめる。 「ふふ。だってさ、ライバルは早いうちに潰さないとね」 ライバル? レナとみきねぇが? …。 ライバルなんだ。 そっか。 「負けませんよ!」 「ま、美貴に勝とうなんて十年早いけどね」 「美貴ちゃん? 田中ちゃん?」 きょろきょろとレナとみきねぇを見るイシカワさん。 いつか、当たり前のように隣にいて、当たり前のようにじゃれあって。 そんな日が、きっとくる。 その時は、“梨華”って呼んでもいいですか? (2004/4/28)
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―――これは、どこかの時空での物語。 あったかもしれない、無かったかもしれない、ほんの少しの戯れのお話。 幻想幕間 いつかの待合室 「さ、流石にちょっと緊張してきたかも…」 「馬鹿言ってんじゃねえよナミタ。今まで潜り抜けてきた戦闘に比べりゃ屁みたいなもんだろ」 「咄咄怪事(卍意外)!ナミたん、今さら影駭響震(ブルっち)!?」 「アゲハさ、私は骨でいく?それとも素?」 「…骨は不要であるが、従者の矜持を示せ!」 「…ふぅ…」 ゆっくりと吐き出される紫煙。 香るはハイライト。ラム酒を思わせる濃い目の香りの煙草。 【ダフトパンク!!(DAFT PUNK!!)】 【ぱりなリサーチ事務所】 【闇の王と骨の従者】 【“AGAIN”】 激戦を勝ち抜いた四強は、イグニッション・ユニオンの表彰式に招かれ、豪華な待合室に待機していた。 とはいっても暗躍をし続け、敗退と同時に全国指名手配となった仙道ソウスケはこの場にいない。 そして白烏は空気を読んだのか席を外していた。 時雨ナミタ、漆原トウマ、不忍池ぱりな、村崎揚羽、刃山椿、英コトミ。 全員10代の少年少女。 望んだ青春を送ることが出来なかった少年少女。 戦いは全て終わった。近い境遇を持った少年少女は、イグニッション・ユニオンの争いの場でなければ、惹かれ合い、仲良くなるのは必然であった。戦闘を忘れた、たわいもない会話が飛び交う。 「いやー、時の流れは一瀉千里(ちょっぱや)!なんかあっという間に終わり来ちゃった感じ?」 「そうか?俺は妙に長かった気がするぜ。…変態とトンネルを駆けたのが随分遠い昔に思える…」 「トウマ、完全にトラウマになってるじゃん…記憶から消し去りたいのは分かるけどさ…」 「フフ、ハーフ&ハーフの試合、モザイク多くて分析しにくいってソウスケもぼやいてたっけ…」 「いやいや、“AGAIN”とお相撲のもモザイク祭りだったでしょ。アゲハずっと頭抱えてたんだから」 「ツバキよ!余計なことを言うでない!戦友と言えど、我の傷をわざわざ晒す必要なし!」 わいわいと思い思いに言葉を交わす。 「あ!ところで、アゲぴょん、なんで“そっち”の言葉キープしてるん?」 嫌なところを突っ込まれたと、一瞬苦い顔をした後、努めて冷静に揚羽が答える。 「あー、その、なんだ。今回の表彰式とか、そういう表に出る場合は“闇の王”でいくんで…。こう、事前に慣らしてスイッチを完全にいれないとノリきれないからさー」 複雑な表情を浮かべ、揚羽がポツリと溢す。 「我のキャラがな…ウケてしまったのだ…小中学生…特に男子小中学生に絶大にな…」 コトミ、ぱりな、椿はぴんと来なかったが、トウマとナミタは察して「ああ…」と天井を仰いだ。 紫の魔眼を光らせ、宙を舞い、空間を自在に操り、骨の従者を傍らに置く闇の王… 特定の時期の男子学生、もとい男の子には非常にウケの良い存在であることは、同じく特定の時期を経験しているダフトパンクの二人には痛いほど理解できた。 本来、“闇の王”の姿は普通の所作では村崎組の組員に若輩者と舐められることを危惧しての、苦し紛れのキャラ付であったが、全国放送で想像以上に多くの男の子の心を鷲摑みにしてしまったのだ。 「…故に我は表に出るときは“闇の王”を貫くことにした…まぁ、子供に人気があるというのは、組織の健全化に大きく寄与する。結果としては重畳といったところよ」 「南山之寿(マジおめ)!事業、なんとかなりそうじゃん!」 「アゲハについてきてくれる組員も想像以上に多かったからねー。しんどいバトルしてきたかいあったわ。事業と言えば!CM!ぱりなんの事務所、TVCMまで出してたじゃん!」 「あ!ツバッピ、あれ見てくれたん!?よくね?よくね?」 「ぼ、僕も見ましたよ! 『ぱーりな ぱりな ぱーりな 抜け忍! ぱーりな ぱりな パーリーナイ!』 ってやつですよね?あれ、妙にメロディがこびりつくんですよね」 「あ、今更だけど、タバコ吸ってよかった?苦手な人いたら吸わないけど」 「俺もたまに吸うから、全然かまわねえよ…って、結構濃いの吸ってんのな!ま、らしいんじゃねえか?」 そう。戦いは全て終わったのだ。 少年少女の前にあるのは明るい未来への道筋。 互いに今後の明るい道を語り合い、瞬く間に時間が過ぎゆく。 間もなく表彰式が開かれる時間となったので、服装を整え、準備を始める。 しかしーーー 待合室の周囲の空気がおかしい。 冷静で、確かな運営をしてきたはずのスタッフたちが、大いに慌てている気配がする。 一体何が? 「お、お!お嬢様…!あ、あ…ありえないことが!」 その答えは、同じく大いに慌てて部屋に入ってきた白烏が持っていた。 冷静沈着(メンブレなしで)、百戦錬磨(レベチ)の白烏がうろたえるだけの答え。 「準決勝…、ミスジャッジが発生したため、“AGAIN”の逆転勝利の可能性あり…とのことです…」 「「「「「はあああ!!!??」」」」」 ◆◆◆ 控室の面々が同時に叫ぶ。 戦場においては常に冷静、波一つ立たぬ澄み切った精神構造をしているぱりなですら我を忘れている。 逆転勝利で一番恩恵を受けるはずのコトミも、何が起きたか分からないと大いに混乱している。 当事者ではないダフトパンクの二人も、刃山椿も事態に頭が付いてこない。 「うわ…トウマ…どうやら本当みたい…見てよネットニュース…」 ナミタに促され、その場の面々はスマホを取り出し状況を把握しようとする。 『準決勝にミスジャッジ!“AGAIN”奇跡の逆転勝利!?』 『運営に一体何が?急転直下の大逆転』 『ミスジャッジの判定の遅さに疑問の声も』 『審判全会一致で“AGAIN”の勝利を支持との情報』 刺激的な文字列がどんどんと並んでいく。 困惑、混乱。騒がしくなった待合室に、軽い音が響く。 パン パン パン うすら寒い拍手とともに、細身長身の軽薄な印象を与える金髪の男が待合室に踏み込んできた。 仙道ソウスケ。全国に指名手配されているトリックスターが、いかな方法か再び姿を現したのだ。 「やあ、歴戦のベスト4、紳士淑女の皆さま!大変困惑なさっているようですが、いかがなさいましたか?」 このタイミングでのソウスケの登場。芝居がかった所作。 待合室の面々が困惑している事態に関わっているのは、あまりにも明白であった。 何も言わずにトウマが金属バットを構える。 “切り込み椿”が居合の構えを取る。 「すとっぴ!二人とも張眉怒目(おこ)は分かるけど、とりま、おちつき?」 一触即発の空気になったところを、ぱりなが宥める。 「お兄さん、さあ、このミスジャッジ騒ぎに関わってる、ってことでオケツ?」 そのまま、この場の全員が思っていることを代弁する。 「勿論。勿論だとも。ネットニュース見ただろ?」 反射的にコトミが叫ぶ。 「い、意味わかんない!私も知らないんだけど!?本当にミスジャッジなんてあったの?ソウスケのいつものフェイクじゃなくて?」 その言葉を酷く懐かしいもののように、目を細め受け止めたソウスケは、仰々しく両手を広げ、よく通る声を飛ばした。 「ああそうともコトミ!ミスジャッジはあった!本当は僕たちが勝っていたのに!コトミは知らなくて当然だけどね!」 「…知らなくて当然…とは気になりますな。コトミ様以外の、端的に言えば貴方が知っていること、という風に聞こえますが」 白烏が的確に指摘をする。 何を考えているか読めない、特徴的な笑顔を全開にソウスケが答える。 「答えを引っ張る理由なんてどこにもないからねえ。簡単な話さ。審判が判断したんだよ。この大会は、24時間以上戦って決着がつかなかった場合、判定による決着となる…。当然その判定をする審判が運営に用意されているんだ」 皆初めて聞く情報にうまく反応できず固まる。 それを尻目にソウスケは続ける。 「審判だからねえ。勝敗以外にも何か反則をしていないかの確認、リングアウトなどの確認、生死のタイミング確認など作業は多岐にわたる。そしてそれらの報告や管理は審判に貸与された端末によって行われるんだ。」 ソウスケはわざとらしい仕草で腕時計に目をやる。 「今からちょうど24時間前。イグニッション・ユニオンの審判、総勢35名全員が、偶然にも(・ ・ ・ ・)同時に、【ぱりなリサーチ事務所】の反則負けを申告したらしい。全会一致によりその申告はシステムに受理された。運営がこの申告に混乱しているところをメディアがすっぱ抜いた、って寸法さ」 ギリ、と金属バットを握る音が響いた。 「…てめえ…!買収か?それとも脅迫か!?やりやがったな(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)?ミスジャッジでも何でもねえ…!勝ち星の操作じゃねえか!!」 なんという悪辣。 不忍池ぱりなや村崎揚羽のように、試合に勝つために調査と準備を積み重ねる参加者は数多いたが、この稀代の悪党は、試合そのものすら見ていなかった。自分の土俵に引き込むどころか、土俵自体をひっくり返して見せたのだ。 待合室の面々に殺気が満ちるが、そよ風のようにソウスケは受け流し、なおも言葉を紡ぐ。 「ミスジャッジがあったならさぁ…僕たちの優勝もあったんじゃない?いや!むしろ“AGAIN”は優勝していたね!方法は言わないけど、ダフトパンク相手なら必勝の手段があったし。うん、僕たちは絶対に勝てた!“AGAIN”は優勝を主張するよ!」 ミスジャッジの話から一足飛びして、自身の優勝の主張まで始めた。 余りにも強引かつ強烈な論展開に、皆がツッコミを入れようとした瞬間。 よく通る朗々とした声が待合室に響いた。 「ふむ…貴様の言う事は一理ある…」 “闇の王”村崎揚羽の声であった。 「アゲハ!?」 「何言ってんだ王様!?」 「ミスジャッジが事実なら、“AGAIN”が優勝。という論は当然ではないか?」 理解できないという風にナミタが噛みつく。 「お、おかしいよいくらなんでも!それで優勝を主張するなんて…」 揚羽の主張の理不尽さを糾弾しようとしたが、その言葉を揚羽自身が遮った。 「確かに“AGAIN”優勝というのは暴論か!」 大論戦を覚悟していただけに、待合室の空気が弛緩する。 「ならば!一歩譲り!準決勝からやり直すというのは如何か!?」 (この野郎!) (さ…最悪だよ!) (一歩引いてから要求通してきたし!) その戦略と口車で天使と悪魔すら地に堕として見せた仙道ソウスケ 日本最悪級の呪物をハッタリと演技で解体した村崎揚羽 イグニッション・ユニオン参加者、弁舌二強が最悪の形で手を結んだ。 「運営が正式にミスジャッジがあったと言っているのならやり直しは当然ではないかい?」「我らは何もぱりなを敗退させようというわけではない、やり直すというだけである」「ああ!でもそうすると能力の底を晒しているものが不利になってしまうなあ!」「では相手を入れ替えるというのはいかがであろう?」「日程だったら僕が抑えてあるよ一週間後でどうだい?」「おお素晴らしい!我らも偶然ではあるが一週間後であれば空いている!いやこれは偶然!ダフトパンクの二人も一週間後であれば空いているではないか!」「おやおや王様、ダフトパンクのスケジュールをなんで把握しているんだい?まあいいか。ちなみにぱりなリサーチ事務所も一週間後であれば依頼業務の谷間だから余裕があるねぇ」「貴様こそぱりなの予定を把握しているではないか!」「戦場はどうしようか、これもシャッフルしちゃおう」「運営に早速ではあるが連絡を取るとしよう」 皆が呆然とする隙をつき、マシンガンのように二人が喋り、高速で物事の段取りを進めていく。 「ちょま!妾(あーし)ら無視して話を…」 「ああ!すまないねぱりなさん!僕には【ぱりなリサーチ事務所】の強制敗退を防ぐためにはこれしか思いつかないんだ!」 「我の未熟を憎むのみである…やり直すことでしかこの事態を打破できないとは…!!」 喧々諤々 侃々諤々 甲論乙駁 丁々発止 いかな百戦錬磨の不忍池ぱりなとはいえ、屈指の論客コンビが繰り出す暴論を防ぎきることが出来ない。非常にタチが悪いことに、片方が押せば片方が引く、典型的なヤクザの弁論を二人は完璧に使いこなしていた。 そして、ぱりなが弁舌で勝てないという事は、この場の誰も弁舌で勝てないという事を意味した。 (トウマ…何か策ある…?) (あると思うか…?この組み合わせはヤバすぎるだろ…1言ったら100返されるぞ…!) そう。弁舌では勝てない。 ――ならば別の手段でねじ伏せるだけである。 幸いにしてそれが出来る者がこの場にはいた。 スパン!と軽い音が二つ響き渡る。 「痛い!?」 「ぐぬぅう!?」 悲鳴を上げるは仙道ソウスケと村崎揚羽。 両者の頭を叩くは英コトミと刃山椿。 「ソウスケ!馬鹿言ってんじゃない!」 「アゲハ!阿呆なこと言うな!」 先ほどまでの独壇場のような弁舌はどこへやら、叩かれた二人は身をすくめ、しどろもどろに何かを言おうとする。 「いやほら、ね、コトミ?これはコトミのためでもあって…」 「案が通れば村崎組の安定経営もだな…」 スパパーン! またしても響くスナップ音。 「「言い訳無用!!」」 叩きのめされた二人は床に正座をさせられた。 「ソウスケさあ、気持ちは嬉しいよ。もしかしたら勝っていたのかもしれない。でもそれを言うのが遅い時点で、やっぱり負けだよ」 「アゲハの言いたいこと分からないでもないけど、私たちに出来るのは勝者を気持ちよく祝福すること!そうでしょ?」 完全に首輪を掴まれた飼い犬状態になった二人は、うなだれながら小さく「はい…」と呟いた。 「声が小さい!」 「ハッキリ返事!」 みるみると小さくなっていく二人を、ぱりなは写メに撮った。 ◆◆◆ 「私、仙道ソウスケは当初の結果を受け入れ大会をこれ以上荒らしたりしないことをここに誓います…」 「我…村崎揚羽も同様に誓います…」 仙道ソウスケも村崎揚羽も、唯一絶対に頭の上がらない二人にボコボコにされていた。 「けっ、お熱いこった」 もっとも、ダフトパンクやぱりなから見れば、それはイチャついているようにしか見えなかったが。 「トウマ、なんか下らないことしているうちに、表彰式近くなっちゃったよ!早く表彰台に向かおう!」 一連の流れを、下らないこととぶった切る図太さが時雨ナミタにはあった。 疾風迅雷(誰よりも早く)表彰台に向かっていったぱりなリサーチ事務所の後を追い、ダフトパンクも駆ける。 「アゲハ、正座でついた埃を落としたら追ってきなよ?」 刃山椿も表彰台に向かった。 「…じゃ、ソウスケ…なんだかんだ感謝してる。それじゃまた(・ ・ ・ ・ ・ ・)」 英コトミも何かを言いたげな複雑な顔をしたまま表彰台へ向かった。 こうして大分広くなった待合室に、仙道ソウスケと村崎揚羽が残された。 本当であれば村崎揚羽が表彰台へ向かい、仙道ソウスケは立ち去る。 それで幻想の物語は終わりを迎えるはずであった。 しかし、村崎揚羽が動こうとしない。 ゆっくりと立ち上がると、仙道ソウスケに向かい合った。 「おやおやどうしたんだい王様?早く表彰会場に向かいなよ。流石に僕は表に出れないけどねえ」 「間もなく向かう。ただ、我は一つだけハッキリとさせておきたくてな。貴様が述べた審判買収。効果の余りにも遅い買収。それとは別に、ミスジャッジは確かにあったのではないか?貴様は、それを誤魔化して平穏にことを収めようとしたのではないか?」 シン、と音が聞こえそうな静寂。 待合室に掛けられた豪奢な時計の秒針の音が痛いほどに響く。 「…根拠は?」 「貴様は、英コトミにだけは嘘をつかぬ。『ああそうともコトミ!ミスジャッジはあった!本当は僕たちが勝っていたのに』は嘘偽りなき真実ということだ」 生温い、妙な緊迫感をはらんだ静寂が二人の間に横たわる。 「…答えたくないのなら、聞き流して構わぬ。これから述べるは、我が虚空に放つ戯れ言に過ぎぬ」 淡々と“闇の王”が推察を述べる。 「おそらく、本当にミスジャッジは在ったのであろう。しかし発覚が遅すぎた。貴様(ソウスケ)は既に表舞台から姿を消し、決勝の準備も進んでしまっている」 村崎揚羽は人差し指をトントンとこめかみにあてる。自身の考えを整理するように。 「ミスをもみ消すわけにはいかない。かと言って準決勝をやり直すわけにもいかない。困った運営は貴様(ソウスケ)に協力を仰いだ…。連絡に関しては、抜け目ない貴様のことだ。鷹岡あたりとはまだラインを残していたのであろう?」 「…はは、その戯れ言、面白いね。けど、僕が運営に協力する義理なんて無いよね?」 「そこは我も気になった。しかし貴様が何か事を起こすなら、理由は英コトミしかありえないであろう」 ほんの僅かであるが、ソウスケの笑みが薄らいだ。 しかしその変化はコトミでなくては気が付けない程の些細なものであった。 「仮にミスジャッジが明らかになったら?一番難しい立場に置かれるのは英コトミだ。時間をおいての“AGAIN”勝利となれば、当然痛くもない腹を無遠慮に探られるだろう。」 トン、と一際大きく音が鳴った。 「…しかしミスジャッジがソウスケの暗躍であると判明すれば?これまでの戦いで、『外道のソウスケの策に振り回されるコトミ』という構図は視聴者に刷り込まれている…」 揚羽はスマホを取り出した。 「嗚呼、やはり。コトミの晴れ舞台である表彰式に、疑念の種は残さぬのは当然よな」 『ミスジャッジの裏に仙道ソウスケの暗躍』 『審査員激白「私は脅された、私一人くらいなら影響がないと思っていた」卑劣なその手口』 『運営公式、ミスジャッジの発表はあったが結果は変わらずとの弁』 『仙道ソウスケは行方不明、稀代の悪党の姿はいずこ!?』 各メディアが示し合わせたかのようにソウスケの陰謀をつまびらかに記していた。 ミスジャッジという衝撃的発表は多くの人々の耳目をネットニュースに集めた。そしてその後、大半の民衆がより多くの情報を求め、ネットサーフィンを始めたタイミングでの真相発表。あまりにも鮮やかな情報操作であった。 「ミスジャッジはあった。それを認め、公表しつつ、“ソレ”は仙道ソウスケの暗躍によるものとして、英コトミの参加する大会を平穏に終わらせる…実に見事である!」 ただ、と揚羽が続ける。 「…何故ここまでした。貴様であれば、コトミに害がないようにするならいくらでも方法はあったであろう。この方法は、貴様だけは泥をかぶるが、ぱりなリサーチ事務所やダフトパンクの名誉も保たれる妙策だ。何故ここまでしたのだ。」 ふぅ、と軽い息がソウスケの口から漏れた。 「だってさ、大会を盛り上げたままでいたいじゃない」 人肉ケーキを使い、善人の心を利用し、様々な命をオモチャにした悪漢とは思えぬ言葉。 「コトミに傷が付かないようにする。それを完璧にするには大会を成功させなきゃいけないんだ。コトミは優しいからねえ。ぱりなとか僕はど~うでもいいんだけど、ぱりなが悲しんだらコトミは傷ついちゃう。それは嫌だよ。それにねぇ…僕もこの大会は楽しかったんだ。それは本心さ。信じる信じないは王様の勝手だけどね」 それに、とソウスケは続ける。 人を偽り、自身を偽り、参加者どころか運営すら手玉にとった男が、真摯な言葉を吐いた。 残念ながら揚羽には、ソウスケが本心から語っていると信じ切ることは出来なかったが。 「―――この部屋にいた四組は、皆最高だった!誰が優勝したっておかしくなかったさ。色々あったけど、運命の女神はたまたまあの二人組に微笑んだ。勝者に最大限の賞賛を!!!敗者には安らかな休暇を!僕が思うのはそれだけさ!」 真摯な表情は一瞬。ソウスケはすぐさま考えの読めないうさんくさい表情に切り替えると、言葉を返した。 「…“戯れ言”とはいえ、言われっぱなしは悔しいから、僕からも“戯れ言”を王様に一つまみ献上!」 ソウスケは全開の笑顔ながらも目は欠片も笑っていない。 嫌な予感がして揚羽は身構えた。 「…王様、僕の話に乗るのが異常に早かったよね?」 「…我に利のある話であるのだから当然であろう」 「ん~。それにしては引くのが早すぎたねぇ!まるでこの話がうまくいかないって、最初から知ってた(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)みたいに!」 「…」 「黙秘権の行使かな?まぁいいや、じゃあ独演会としゃれこもう!王様の言葉は筋が通っていたけど、僕と運営が連絡を取った方法に、『鷹岡あたりとはまだラインを残していたのであろう?』は無理筋だったねぇ!」 その言葉一つで揚羽は自身のミスに気が付いた。しかし動揺は見せない。 「運営に、僕が盗聴器でも仕掛けたのかもしれない。誰かを脅したのかもしれない。C3ステーションにコネがあるのかもしれない。選択肢は無限さ。なのに何故わざわざトップの鷹岡との関係を疑う?簡単な話さ。自分がそうだから(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)!」 爬虫類めいた、感情を読ませない瞳でソウスケが揚羽の顔を覗き込む。 「王様、かーなり早い段階から鷹岡とコンタクト取っていたでしょう?そう考えると運営が異様に【闇の王と骨の従者】を推していたのも…スッキリしちゃうねぇ!」 「…その“戯れ言”が本当だとしても、それなら貴様の茶番に乗る理由は無かったのではないか?」 「そうだねえ。それだけが本当に謎なんだけど…“戯れ言”が本当だと仮定して、王様から答えを聞くのは野暮かな…?」 相変わらず本心を読ませぬソウスケに一つ溜息をつき、揚羽は返した。 「これは“戯れ言”というよりも“物語”であるがな、王は、近しい者には本来の姿をさらすらしい」 「その心は?」 「とある王は、自分を負かした相手が泡を吹く姿を見たかった、ただそれだけよ」 「ははぁ、子供っぽいねえ!」 「それをいうなら、同じようなことをする道化がいたらしい。道化の計画、すべて順調に進んだのなら、姫の前に姿をさらす必要はどこにもない。かつて道化を討ち果たした忍びが慌てふためく姿を、直接見たかったのではないか?」 にんまりと仙道ソウスケが笑う。 同じくにんまりと村崎揚羽が笑う。 「性格の悪い王様がいたものだねえ!」 「性格の悪い道化がいたものよ!」 二人はひとしきり笑った。 笑って笑って笑い疲れたあと、向かい合い、数刻ほど黙り合った。 そして、村崎揚羽は表彰式へと駆けた。仙道ソウスケはぬるりと闇へ消えた。 「We look forward to serving you again!」 いつもの決め台詞と共に。 ◆◆◆ 表彰台に向かい、永遠の青春を駆ける相棒同士が笑う。 表彰台に向かい、全てを振り切った忍姫と老忍が笑う。 表彰台に向かい、普通へ進む闇の王と骨の従者が笑う。 表彰台に向かい、救われた少女が携帯を片手に笑う。 会場に集まった観客が大きな歓声を浴びせる。 万雷の拍手が四組を包む。 勝者にありったけの敬意を。 楽しい世界をもたらした運営に賛辞を。 曲がりくねった道を進む炎たちの行く末を見守ってくれた観客に心からの感謝を。 こうして、一つの祭りの炎は消えた。 幻想幕間~劇終~